スマートリング「Oura」、米ナスダック上場へS-1公開―500万人サブスクで売上高12億ドル

2026年9月6日 17:33

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記事提供元:Tech Times

Ouraは米国でIPOを申請し、売上高74%増と500万人の有料会員、指輪型センサーを軸とする成長戦略を開示した。(写真:同社ウェブサイトより)

Ouraは米国でIPOを申請し、売上高74%増と500万人の有料会員、指輪型センサーを軸とする成長戦略を開示した。(写真:同社ウェブサイトより)[写真拡大]

スマートリング「Oura Ring」を展開するOuraは2026年9月3日、米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)のためのForm S-1登録届出書を公開提出した。Nasdaq Global Select Marketへティッカーシンボル「OURA」で上場する計画だが、募集価格や株式数、上場日はまだ決まっていない。

S-1では、売上高の急増と500万人の有料会員に加え、指から取得する生体信号と長期間にわたって蓄積したデータを組み合わせる事業戦略が示された。Bloombergは公開申請に先立ち、Ouraが160億ドル規模の評価額を目指していると報じているが、実際の評価額は今後の条件設定と市場環境によって決まる。

■9カ月で売上高12億ドル、有料会員は500万人

2026年6月30日までの9カ月間の売上高は12億1400万ドル(約1894億円、1ドル=156円換算)で、前年同期比74%増となった。純利益は6080万ドル(約95億円)で、前年同期の160万ドルから大きく増えた。売上総利益率は55%、調整後EBITDAは1億670万ドル(約166億円)だった。

一方、優先株主に対するみなし配当などを反映した普通株主帰属損失は、同じ9カ月間で9億2400万ドルを超えた。これは事業から生じた純損失とは異なる会計上の要因を含むため、純利益6080万ドルとは区別して見る必要がある。

売上高の中心はリング本体で、同期間のハードウェア売上高は約9億7400万ドル(約1519億円)だった。メンバーシップ売上高は約2億4050万ドル(約375億円)で、前年同期の約1億880万ドルから増加した。

2025年9月期の通年売上高は9億790万ドル(約1416億円)で、2024年9月期の4億680万ドルの2倍を超えた。Ouraは急速な成長が将来も同じペースで続くとは限らず、成長率が鈍化する可能性があることもリスク要因として挙げている。

2026年6月30日時点の有料会員数は500万人だった。1年前の250万人から倍増しており、加重平均による12カ月の会員継続率は約85%、デイリーアクティブユーザー数をマンスリーアクティブユーザー数で割った比率は約65%としている。

■リング販売とメンバーシップを組み合わせる収益モデル

Ouraの事業は、リング本体の販売と継続課金型のOuraメンバーシップを組み合わせた構造になっている。米国ではOura Ring 5を399~499ドルで販売し、メンバーシップは月額5.99ドルまたは年額69.99ドルで提供している。

日本ではOura Ring 5が2026年6月に発売された。国内価格はSilverとBlackが6万5800円、Gold、Deep Rose、Stealth、Brushed Silverが8万1800円で、Ouraメンバーシップは月額999円である。

メンバーシップに加入すると、睡眠、アクティビティ、コンディション、ストレスなどのスコアと傾向分析、個別化されたガイダンス、会話型AI機能「Oura Advisor」などを利用できる。加入しない場合も一部の機能は利用できるが、詳細な分析やパーソナライズ機能は制限される。

長期間のデータから個人ごとの平常時の傾向を把握し、その変化を示すことがサービスの中心となる。継続利用によって履歴が蓄積されるため、メンバーシップ売上高だけでなく、利用者の定着もOuraの事業価値を左右する。

■指から取得するPPG信号を健康指標に変換

Oura Ringは、フォトプレチスモグラフィー(PPG)と呼ばれる光学式の計測技術を使う。LEDの光を皮膚に照射し、心拍に伴って変化する血液量を、反射光や吸収光の変化から捉える仕組みだ。

Ouraは、指では脈波を捉えやすく、同社のリングで取得する信号が手首装着型センサーより最大100倍強くなる場合があるとしている。これは同社が示す比較値であり、実際の測定性能はセンサー構成、装着状態、身体の動き、皮膚との接触、測定する指標などにも左右される。

ウェアラブル機器は、PPGに加えて体表温、動き、呼吸に関係する信号などを組み合わせ、心拍数や心拍変動、睡眠時間、睡眠段階などを推定する。特に睡眠中は身体の動きが比較的少ないため、指から継続して得られる複数の信号を分析しやすい。

2024年にSleep Medicineへ掲載された96人対象の研究では、Oura Ring Generation 3と睡眠ポリグラフ検査を複数夜にわたって比較した。総睡眠時間や浅い睡眠、深い睡眠など複数の指標で良好な一致がみられた一方、睡眠効率やレム睡眠時間には一定の過小評価も確認された。

同年にSensorsへ掲載された35人対象の研究では、Oura Ring、Apple Watch、Fitbit Senseの睡眠段階推定を睡眠ポリグラフ検査と比較した。Oura Ringは4段階分類で3製品中最も高い成績を示し、睡眠段階の判定は全体で約79%が一致した。この結果は、リングが脳波などを直接測ることを意味するものではなく、指から得た複数の生体信号による推定性能を比較したものだ。

OuraはOura Ring 5について、心電図との比較による心拍数の精度を99%、臨床睡眠検査との比較による睡眠段階の精度を95%と表示している。いずれも比較方法や評価指標を伴う同社の公表値であり、医療機関の検査と同じ用途を想定した数値ではない。

■Oura Ring 5は小型化と信号経路の再設計が中心

2026年6月に発売されたOura Ring 5は、Oura Ring 4より体積を40%小さくした。幅は6.09mm、厚さは2.28mm、重さはサイズにより2g以上で、バッテリー駆動時間は使用条件に応じて6~9日としている。

Oura Ring 4では、リング内で利用できる信号経路を選ぶ「Smart Sensing」が導入された。Oura Ring 5ではセンサー構造を改め、12本の信号経路、高出力LED、薄型のセンサー部を採用している。皮膚との接触状態や信号品質に応じて利用する経路を調整し、個人差や装着中のずれに対応する考え方だ。

リングは緑色、赤色、赤外線のLED、体表温センサー、加速度計などを搭載する。取得した信号を組み合わせ、心拍数、心拍変動、呼吸数、体表温の傾向、睡眠、活動量などを推定する。

運動中は、睡眠時に比べて動作によるノイズやセンサーと皮膚の接触変化が大きくなる。Ouraも適切なサイズと密着した装着を推奨しており、激しい運動で心拍数を測る用途では、胸部に装着する心拍センサーなどが比較対象になる。

■蓄積データとAIを個別化に活用

Ouraは、10年以上にわたって蓄積した約420億時間の生理学的データを重要な競争資産として位置付けている。S-1では、この長期データを健康指標の推定モデルや個人ごとの傾向分析、AI機能の開発に利用していると説明した。

同社は一般的な生理状態を扱う基盤モデル、女性の健康や心血管分野などに特化したモデル、Oura Advisorに用いる大規模言語モデルを組み合わせている。AIによる回答や提案の一部には、外部企業が提供するモデルやデータセンターも利用しており、S-1では外部サービスへの依存、情報セキュリティ、法規制、AIの出力に関する問題をリスクとして開示している。

2026年6月30日時点では、有料会員の約72%を女性が占めていた。Ouraは体表温の傾向などを使った月経周期関連の機能を提供し、Natural Cyclesなど外部サービスとの連携も進めている。

一方、Oura Ringは基本的に一般向けのウェルネス製品として提供されている。健康上の傾向を把握するための情報を示すものであり、疾患の診断や治療を目的とする医療機器とは位置付けが異なる。

■Galaxy Ringとの競争、日本では価格も接近

スマートリング市場では、SamsungのGalaxy Ring、Ultrahuman Ring Air、RingConnなどがOuraと競合している。なかでもSamsungはスマートフォンやSamsung Healthとの連携を強みにしており、Ouraとは異なり、主要機能の利用に月額メンバーシップを設けていない。

Samsung Galaxy Ringは日本で2025年2月に発売され、Samsungオンラインショップでの価格は6万3690円だった。Androidスマートフォンに対応し、Samsung製スマートフォンやGalaxy Watchと組み合わせた健康管理機能を特徴とする。

Oura Ring 5はiOSとAndroidの双方に対応し、長期間のデータ分析や女性の健康関連機能、Oura Advisorなどをメンバーシップの価値として打ち出す。日本ではOura Ring 5の本体価格が6万5800円から、Galaxy Ringが6万3690円であり、購入時の価格差は小さいものの、Ouraでは継続料金も考慮する必要がある。

Appleについては、リング型端末に関係する特許や社内での検討を巡る情報がある一方、製品の開発や発売は公式発表されていない。Appleがスマートリングを積極的に開発していないとの報道もあり、現段階でOuraの具体的な競合製品として扱える状況ではない。

■バッテリー問題と規制対応をリスクに明記

OuraはS-1で、Oura Ring 4の一部の製造時期に属する製品にバッテリー性能の問題があり、保証請求や無償交換が増えたと開示した。2025年度には、こうした問題などによって保証関連費用が大幅に増加した。

対象となる製造ロットやサイズ、交換台数などは開示されていない。Ouraは試験と品質管理を強化し、Oura Ring 5の実際の性能を監視しているが、新製品でも部品や製造、バッテリーに関する問題が発生する可能性をリスクとしている。

規制面では、一般向けウェルネス製品として提供する機能と、医療機器として規制され得る機能との境界が重要になる。Ouraは血圧に関係する研究や夜間の傾向分析を進めているが、Oura Ring 5が一般的な血圧計のように収縮期血圧と拡張期血圧を測定するわけではない。

Ouraは、今後の機能や表示内容が医療機器に該当すると判断された場合、承認手続きや臨床検証、品質管理などの費用と開発期間が増える可能性があると説明している。

睡眠段階の精度表示を巡っては、2026年8月に米カリフォルニア州で消費者による集団訴訟を求める訴えも起こされた。原告側はマーケティング上の精度表現を問題視しており、Ouraはリングが複数の生体信号から睡眠段階を推定し、その手法は独立研究でも検証されているとして主張に反論している。訴訟は提起された段階であり、責任の有無について司法判断は出ていない。

■上場条件と時期は今後決定

Ouraは2013年、フィンランドのオウルでJouZen Oyとして設立され、2017年にOura Health Oyへ社名を変更した。2026年3月には企業再編を行い、米Delaware州法人のOura Inc.を親会社とし、Oura Health Oyを完全子会社とする体制へ移行した。

IPOの主幹事にはGoldman Sachs、Morgan Stanley、J.P. Morgan、Allen & Company、Jefferiesなどが名を連ねる。OuraはNasdaq Global Select Marketへの上場を申請しているが、S-1の公開提出は上場手続きの一段階であり、募集株式数、価格帯、最終的な企業評価額、取引開始日は確定していない。

売上高の急増、500万人の有料会員、ハードウェアと継続課金を組み合わせた収益構造は、Ouraの成長を支える要素となっている。一方で、黒字化してからの期間は短く、製品品質、規制対応、競争激化、外部AIサービスへの依存、会員継続率の変化が上場後の成長を左右する。

元記事: Oura Ring Files for IPO at $16B: Sensing Tech Behind 5M Members Explained

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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