米ヴァージン・ギャラクティック、次世代宇宙船「デルタ」商業運航は2027年2月に延期へ―資金計画に重圧

2026年8月14日 15:10

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記事提供元:Tech Times

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宇宙旅行を手掛ける米ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)は、次世代宇宙船「Delta 1」の商業運航開始を、従来予定していた2026年第4四半期から2027年2月へ延期した。アビオニクス(航空電子機器)や各種システムの設置作業が想定以上に長引いているためだ。同社は2026年内の四半期フリーキャッシュフローについて大幅なマイナスを予想しており、追加資金調達と予定通りの商業運航開始が重要な課題となっている。

■商業デビューの延期と資金繰りの現状

ヴァージン・ギャラクティックは8月12日、Delta 1のシステムを初めて起動した一方、同機の商業運航開始を2027年2月へ延期すると発表した。従来の目標は2026年第4四半期だった。さらに、同社の予想する2026年第3四半期と第4四半期のフリーキャッシュフローを踏まえると、新たな資金調達を行わない場合、年末の現金、現金同等物および市場性有価証券は6500万〜8000万ドル(約103億〜127億円、1ドル=159円換算)程度まで減少する計算となる。

75万ドル(約1億1900万円)の新たな宇宙飛行予約枠を購入した顧客や、SPCE株を保有する株主にとって、2027年2月の商業運航開始は重要な節目となる。予定通り進めば、Delta 2の投入と飛行回数の増加を通じて収益改善への道が開ける。一方、さらなる遅延が生じれば、追加の株式発行や債務調達への依存が強まる可能性がある。

■「数百の小さな作業」の遅れが意味するもの

CEOのマイケル・コルグラジエ(Michael Colglazier)氏は、決算説明会でアナリストに対し、遅延は単一の技術的問題によるものではないと説明した。「数百に及ぶ準備や設置作業の多くで、見積もり以上の時間がかかった」と述べている。

ヴァージン・ギャラクティック・スペースライン社長のマイク・モーゼス(Mike Moses)氏はAviation Weekに対し、部品納入の遅れや予想以上に長引いた設置作業によって、組み立てを当初の順序どおりに進められなくなったと説明した。

この説明は、Deltaクラスの製造工程と、そのスケジュールが多数の相互依存する作業に左右されることを示している。

退役した宇宙船「VSS Unity」のような特注のプロトタイプとは異なり、Delta 1は、複数機を同じ工程で製造することを前提とした最初の量産型宇宙船である。1機当たり週1回の飛行を想定して設計されており、同社は2027年第2四半期末までに、2機のDelta宇宙船で月間10回以上の宇宙飛行を行うことを目標としている。

この飛行頻度を実現するため、Deltaクラスには約12マイル(約19km)の配線、従来型の操縦装置に代わる新しいサイドスティック型の飛行制御装置、更新されたコックピットディスプレイ、再設計されたキャビン床下のシステムが採用されている。これらは、プロトタイプの柔軟性よりも、量産時の再現性を重視した設計である。胴体と主翼はQarbon Aerospaceが複合材で製造し、フェザリングシステムと飛行制御面は、テキストロン(Textron)傘下のベル(Bell)が担当した。

量産モデルの複雑さゆえの問題は、すべてのシステムを同時並行で設置できるとは限らないことだ。アビオニクス、ワイヤーハーネス、飛行制御システムの統合は定められた順序で進める必要があり、各サブシステムを検証した後に次のシステムを取り付けなければならない。数百の個別作業がそれぞれ少しずつ長引くと、遅れが積み重なって全体のスケジュールに影響する。

コルグラジエ氏によると、同社は2026年8月末までに現在の設置段階を終え、その後、機体全体を統合した地上試験を進める予定だ。Delta 1は10月にアリゾナ州メサの組み立て施設から、ニューメキシコ州のスペースポート・アメリカへ移送される計画である。

その後は、母機「VMS Eve」にDelta 1を取り付けたまま飛行する係留飛行、無動力での滑空試験、動力飛行試験などが予定されている。商業運航の開始には必要な試験や規制当局の承認を完了しなければならず、それぞれの段階で新たな問題が発生する可能性もある。2027年2月は現時点の会社目標であり、実現が保証されたものではない。

■資金流出と「継続企業の前提」への重大な疑義

2027年2月という目標が単なるスケジュール上の問題にとどまらない理由は、同社の資金状況にある。

2026年6月30日時点で、ヴァージン・ギャラクティックは1億8734万ドル(約298億円)の現金および現金同等物と、6771万ドル(約108億円)の市場性有価証券を保有していた。両者の合計は約2億5505万ドル(約406億円)である。このほか、使途制限付き現金が3107万ドル(約49億円)あり、これを含めた合計は約2億8613万ドル(約455億円)となる。

一方、同社は2026年第3四半期のフリーキャッシュフローをマイナス9500万〜1億ドル(約151億〜159億円)、第4四半期をマイナス8000万〜9000万ドル(約127億〜143億円)と予想している。現金、現金同等物および市場性有価証券の合計からこれらを単純に差し引くと、新たな資金調達を考慮しない年末残高は6500万〜8000万ドル程度となる。

同社は2026年第2四半期のSEC提出書類において、資本調達計画を成功させなければ、今後12カ月間、継続企業として存続する能力に「重大な疑義」があると記載した。これは、現在の事業計画を遂行するために追加資金が必要になる可能性を示す会計・財務上の開示である。

第2四半期には市場価格で株式を売却するATMプログラムを通じて、1億3400万ドル(約213億円)の総調達額を確保した。ただし、商業運航開始までフリーキャッシュフローのマイナスが続く見通しであり、追加資金をどのような条件で確保するかが引き続き重要となる。

■顧客需要は引き続き堅調

現在の状況が、2014年の墜落事故や、2023年6月の初商業飛行まで長期にわたり遅延したVSS Unityの時代と異なるのは、新規予約に対する需要が確認されている点である。

1席75万ドルの最新の宇宙飛行予約枠は予定より早く完売し、申し込みが用意された枠を上回った。これにより、同社が見込む将来の宇宙飛行収益は5000万ドル(約80億円)以上増加した。コルグラジエ氏は、最新の予約では複数座席をまとめて申し込む顧客の比率が増えたと説明している。また、研究飛行への関心も続いているという。

同社が見込む将来の宇宙飛行収益は合計2億4000万ドル(約382億円)を超え、宇宙飛行士コミュニティーは700人を超えている。需要が確認される一方、実際の収益化には、Delta 1の試験と承認を完了し、商業運航へ移行する必要がある。

■今後6カ月間のマイルストーン

コルグラジエ氏によると、同社は2026年10月にDelta 1をスペースポート・アメリカへ移送し、係留飛行から飛行試験段階を開始する計画だ。この試験では、VMS EveがDelta 1を切り離さずに上空へ運び、結合した状態での機体システムなどを評価する。その後、滑空試験と動力飛行試験を経て、商業運航を始める予定である。

Aviation Weekによると、係留飛行による移送後には6回の滑空試験が計画されている。ただし、試験の進捗によってスケジュールが変わる可能性がある。

一方、Delta 2の部品組み立ても進んでおり、必要な部品はそろっているという。モーゼス氏によれば、Delta 1で得られた教訓をDelta 2の組み立てに適用し、当初計画した順序で作業を進める。会社は、Delta 1の商業運航開始の翌月に当たる2027年3月に、Delta 2を商業運航へ投入する計画である。

2機が稼働すれば、同社は飛行頻度を引き上げられる。ヴァージン・ギャラクティックは2024年に示した長期モデルで、2機によって年間約125回の飛行を行い、年間4億5000万ドル規模の売上高と9500万〜1億1000万ドルの調整後EBITDAを生み出せるとの試算を公表していた。これは一定の運航頻度、座席販売数、平均販売価格を前提とした会社予測であり、実績を示すものではない。

同社は今回、予定どおり商業運航と飛行頻度の拡大が進むことを条件に、2027年内に四半期キャッシュフローをプラスにするとの目標を示した。具体的な四半期は明らかにしていない。

この計画を実現するには、Delta 1が2027年2月に商業運航を開始し、Delta 2が3月に続き、2機の飛行頻度を計画どおり高める必要がある。

■繰り返されてきた遅延の歴史

2027年2月という目標は、当初の予測から後退した最新のスケジュールである。ヴァージン・ギャラクティックのアリゾナ州メサにある最終組み立て施設は2022年後半に発表され、同社はDeltaを週1回飛行でき、1機当たり6人の乗客を運べる機体として説明していた。

初期の予測ではDeltaの商業運航開始は2025年とされていたが、その後、2025年後半、2026年、2026年第4四半期へと変更され、今回2027年2月となった。

各回の変更には、フェザリングシステムの複雑さ、プロトタイプから量産型への製造移行、アビオニクスや各種システムの設置作業など、それぞれの技術的な説明が伴っている。個別の問題だけでなく、これまでのスケジュール変更が積み重なっている点も、投資家が評価する要素となる。

リチャード・ブランソン(Richard Branson)氏は2008年、最初の商業飛行を「18カ月以内」に実施するとの見通しを示していた。その後、VSS Unityによる商業飛行が始まったのは2023年6月だった。

現在の重要な違いは、さらなる遅れを吸収するために追加資金調達が必要になる可能性が高まっていることだ。資金調達を株式発行で行えば、既存株主の持分が希薄化する可能性がある。借り入れなどで行う場合も、その条件や返済負担が財務状況に影響する。

■投資家と予約客が知っておくべきこと

SPCE株の投資家にとって、Delta 1の試験と商業運航開始が予定どおり進むかどうかは重要な判断材料である。Delta 1が2027年2月に商業運航へ入り、Delta 2が3月に続けば、同社は飛行頻度を高めて収益を計上できるようになる。

一方、商業運航がさらに遅れれば、追加資金調達の規模が拡大する可能性がある。株式発行による資金調達は既存株主の希薄化につながるため、開発工程だけでなく資本政策にも注意が必要となる。

予約客にとっては、会社の財務状況が悪化した場合に、支払済みの予約金が契約上どのように扱われるかが重要である。2026年6月30日時点で、同社の貸借対照表には約8027万ドル(約128億円)の顧客預り金が負債として計上されている。

ただし、個々の顧客が支払った金額や返金条件、支払いの法的な優先順位は、それぞれの予約契約や適用法によって異なる可能性がある。予約客は、返金条項を含む自身の契約内容を直接確認する必要がある。

ブルーオリジン(Blue Origin)の「ニューシェパード(New Shepard)」は、2015年以降に38回飛行し、98人をカーマン・ラインより上空へ運んだ。ブルーオリジンは2026年1月30日、有人月面飛行能力の開発を加速するため、ニューシェパードの飛行を少なくとも2年間休止すると発表した。

ヴァージン・ギャラクティックの空中発射・滑走路帰還型の宇宙船は、ロケットとカプセルで構成されるニューシェパードとは異なる方式を採用している。ニューシェパードの休止期間中にDelta 1が商業運航を始めれば、有人サブオービタル飛行市場におけるヴァージン・ギャラクティックの位置付けは高まる可能性がある。

2027年2月の商業運航開始は、ヴァージン・ギャラクティックにとって重要な短期目標である。Deltaクラスが開発段階を終えて、継続的に収益を生む運航事業へ移行できるかどうかが問われている。

■注目ポイントQ&A

●2027年2月の商業運航が再び遅れた場合、ヴァージン・ギャラクティックは破産しますか?

直ちに破産するとは限りません。ただし、遅延が長引けば追加資金の必要性が高まります。2026年6月末時点の現金、現金同等物および市場性有価証券は約2億5505万ドルで、第3四半期と第4四半期には合計1億7500万〜1億9000万ドルのフリーキャッシュフロー流出が予想されています。

同社は株式発行によって資金を調達してきましたが、現在の株価水準における新たな株式発行は、既存株主の持分を希薄化させる可能性があります。SEC提出書類にも、資本調達計画を成功させなければ、今後12カ月間の継続企業としての存続能力に重大な疑義があると記載されています。

●なぜDelta機のアビオニクス設置には、以前の宇宙船より時間がかかるのですか?

VSS Unityは、開発中の問題に応じて設計や工程を調整しながら作られた特注の機体でした。一方、Delta 1は量産型宇宙船の最初の機体であり、品質管理と再現性を確保するため、アビオニクス、ワイヤーハーネス、飛行制御システムなどを決められた順序で取り付ける必要があります。

Deltaクラスは約12マイルの配線、新しいサイドスティック型の飛行制御装置、更新されたディスプレイなどを備えています。部品納入の遅れや個別作業の長期化により組み立て順序が崩れると、後続作業にも影響が及びます。

●財務状況が悪化した場合、予約客が支払った資金は安全ですか?

一律には判断できません。2026年6月末時点で、同社は約8027万ドルの顧客預り金を負債として計上していますが、返金の可否や条件、財務上の問題が起きた場合の扱いは、各予約契約や適用法によって異なる可能性があります。

予約客は、返金条項や解約条件を含む自身の予約契約を確認する必要があります。会社が見込む2億4000万ドル超の将来の宇宙飛行収益は、顧客預り金の残高と同じものではありません。

●ヴァージン・ギャラクティックはいつ乗客の飛行を再開しますか?

Delta 1の商業運航開始は現在、2027年2月が目標です。それに先立ち、2026年10月から係留飛行を含む飛行試験を開始し、その後に滑空試験と動力飛行試験を行う計画です。Delta 2は2027年3月に商業運航へ加わる予定です。

同社は2027年第2四半期末までに両機合わせて月間10回以上の宇宙飛行を行うことを目標としています。また、四半期キャッシュフローを2027年内にプラスへ転換するとの見通しを示していますが、具体的な四半期は公表していません。これらの予定はいずれも将来予測であり、試験の結果などによって変更される可能性があります。

元記事: Virgin Galactic Hits $80M Cash Floor as Delta Avionics Delay Pushes Launch to February

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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