Meta、無料本人確認バッジ「Facebook Verified」を開始 21年に廃止した顔認識技術を再導入

2026年7月26日 15:13

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記事提供元:Tech Times

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Metaは、Facebookプロフィールの背後に実在の人物がいることを確認する無料バッジ「Facebook Verified」の提供を開始した。この機能には、同社がプライバシーを巡る「社会的な懸念の高まり」を理由に2021年に廃止した顔認識技術が用いられている。MarketplaceやDatingなどでユーザーが相手と関わる前の安心材料となる一方、生体データの保持期間や各地域の規制への適合性には未確定な点が残る。

■過去に廃止した顔認識技術を再導入

Metaは、Facebookプロフィールの背後に実在の人物がいることを確認する無料バッジ「Facebook Verified」の提供を開始した。この機能には、同社が「社会的な懸念の高まり」を理由に2021年11月に停止し、10億人以上のユーザーから顔テンプレートを削除したのと同じ顔認識技術が使用されている。電子フロンティア財団(EFF)が2026年2月に発表した分析によると、その削除から約5年間で、Metaは生体データの収集に関連するプライバシー関連の制裁金や和解金として70億ドル(約1兆1480億円、1ドル=164円換算)を超える額を支払ってきた。そして現在、同社はユーザーにビデオセルフィーを任意で提出するよう求め、世界最大規模の、同意に基づく顔生体情報データベースとなる可能性のあるものを構築しようとしている。

バッジ自体の仕組みはシンプルで、利用は無料だ。Metaの公式発表によると、短いビデオセルフィーを撮影すると、Metaの顔認識システムが既存のプロフィール写真と照合する。顔が一致し、アカウントが良好な状態にあれば、Marketplace、Dating、Groups、プロフィール上に表示されるチェックマークが付与される。手続きは通常数分で完了し、サブスクリプション料金はかからない。対象となるのは、プラットフォーム上で詐欺や不正、なりすまし行為の履歴がない18歳以上のユーザーだ。Facebookページとプロフェッショナルモード(ProMode)のアカウントは対象外で、このバッジは個人プロフィール専用に設計されている。つまり、見知らぬ相手がMarketplaceの出品に応じるか、Datingで相手からの誘いを受けるかを判断する際に目にするアカウントを対象としている。

■Facebook Verifiedが証明するもの、証明しないもの

Metaは、このバッジが確認する範囲を明確にしている。バッジが示すのは、実在の人物がセルフィー認証を完了し、そのアカウントがプラットフォームの信頼性と安全性に関する基準を満たしているということだ。Metaは、ユーザーを推奨するものでも、信頼できる人物であることを保証するものでもないと明言している。バッジの取得後に詐欺を行った認証済みアカウントも、ほかのアカウントと同様にコミュニティ規定とコマースポリシーの対象となる。

この区別は実用上重要だ。Facebook Marketplaceは、インターネット上でも特に詐欺が多い商取引環境の一つとなっており、AIで生成された偽アカウント、ディープフェイクを用いた出品画像、自動化された詐欺メッセージが存在するなかで、数億件もの取引を処理している。Tom Alison氏の関連ブログ記事によると、MetaはMarketplaceに毎月4億3000万点の商品と4400万台の車両が出品され、米国では若年成人の3人に1人が毎日利用していると報告している。このバッジは、認証を受けた実在の人物による詐欺を防ぐものではない。その人物が実在すること自体を確認するためのものだ。

Facebook責任者のTom Alison氏は関連ブログ記事で、AIによってFacebook上でコンテンツを作成したり、情報を見つけたり、より多くのことを行ったりするのが容易になるにつれ、実在する人同士のつながりがこれまで以上に重要になると述べた。また、Facebook Verifiedは、ユーザーがMarketplace、Dating、地域のGroupsで相手と関わる前に、一定の信用と安心感を提供するために設計されたとしている。

■生体認証マッチングの仕組み

バッジの基盤となる技術的な処理は、Metaのマーケティング上の説明よりも具体的だ。Metaのヘルプセンターによると、認証用のセルフィーを撮影すると、Metaのシステムは顔の視覚的特徴を数学的に符号化した高次元ベクトルである、数値形式の「埋め込み(embedding)」を作成する。この埋め込みは、アカウント内の既存のプロフィール写真から生成された同様の埋め込みと比較される。一致度が所定の信頼度のしきい値を上回ると、認証が付与される。

これは、自分の顔を保存済みの自分の写真と照合する1対1(1:1)のマッチングであり、Metaが過去に法的責任を問われる原因となった1対多(1:many)の識別システムとは技術的に異なる。WikipediaのDeepFaceに関する項目によると、Metaの従来の顔認識システムであるDeepFaceは、写真を共有する各ユーザーの顔テンプレートを作成したうえで、プラットフォーム上にアップロードされた写真に写る識別可能な顔を自動認識し、10億件を超える顔テンプレートのデータベースと照合してタグ付け候補を提示する仕組みだった。DeepFaceは2021年に停止された。この1対多のデータベースについて、イリノイ州とテキサス州は、それぞれの州法が禁じる無断の生体情報収集に当たると主張し、和解に至った。

Facebook Verifiedは1対1のマッチングに基づいている。システムが確認するのは、セルフィーに写っている人物がプロフィール写真の人物と同一かどうかであり、第三者を含むデータベースからユーザーを識別するものではない。この設計により、従来のシステムを廃止に追い込んだ法的リスクは抑えられるが、完全になくなるわけではない。Metaのヘルプセンターには、ビデオセルフィーと顔の比較データを認証目的で使用すると記載されている。一方、同じポリシーページでは、バッジ付与後に基礎となる顔の埋め込みデータをどの程度の期間保持するかは公表されていない。

■長年にわたる和解、データ削除、そして今回のセルフィー要求

Facebook Verifiedを理解するには、これまでの経緯を知る必要がある。2021年2月、米国の連邦判事は、本人の認識や同意なしに顔認識テンプレートを収集されたイリノイ州のユーザーにFacebookが支払いを行う、6億5000万ドル(約1066億円)の集団訴訟和解を承認した。これは当時、米国史上最大の消費者プライバシー訴訟の和解だった。同年11月、Metaは顔認識システム全体を停止し、10億人以上のユーザーの顔テンプレートを削除すると発表した。当時AI担当バイスプレジデントだったJerome Pesenti氏は、2021年11月のブログ記事で、顔認識の有益な利用例と「社会的な懸念の高まり」を比較検討する必要があると記している。

その後、2024年7月、Metaは同じタグ候補提示技術がテキサス州の生体情報取得法に違反したとの主張を解決するため、同州に14億ドル(約2296億円)を支払うことで合意した。これは、州が成立させた生体情報プライバシー関連の和解として過去最大だった。また、2019年には、Metaの顔認識に関する同意設定が欺瞞的だったとの認定を含む、米連邦取引委員会(FTC)との50億ドル(約8200億円)の和解が成立している。EFFのスタッフ弁護士Mario Trujillo氏の分析によると、EFFは2026年2月、Metaが長年にわたりプライバシー関連の制裁金や和解金として合計約70億ドル(約1兆1480億円)を支払ってきたと算出した。

Metaによる顔認識の利用拡大に対するEFFの立場は明確だ。Trujillo氏は2026年2月の投稿で、プライバシーを侵害する製品をリリースしても追及を回避できるとするMetaの判断を「卑劣で、道徳的に破綻している」と批判し、プライバシー規制当局や州司法長官は調査を続けるだろうと警告した。

さらに2026年6月、EFFのシニアテクノロジストCooper Quintin氏は、MetaのAIコンパニオンアプリを通じて5000万台を超えるスマートフォンに配布されていたとWiredが確認した、休眠状態の顔認識コードを調査した。このコードは社内で「NameTag」と呼ばれていた。TechTimesの2026年6月の報道によると、Quintin氏はこの機能を「ほぼ稼働可能な状態」と説明し、Metaが「顧客を分散型の監視装置に変える能力を作り出した」と警告した。

■なぜMetaは再び顔認識を導入できるのか

簡単に言えば、Facebook VerifiedはDeepFaceと異なり、明示的かつ自発的な同意を前提に設計されているからだ。ユーザーがバッジを取得するためにセルフィーを提出する際は、本人確認という明示された目的のために生体データを提供することを自ら選択する。分析されることを知らないまま共有した写真から顔の形状データを収集される仕組みとは異なる。同意は、イリノイ州生体情報プライバシー法(BIPA)などが重視する中心的な要件だ。目的を開示した任意のオプトインは、アップロードされた写真から生体情報を受動的に収集する場合とは、法的な構造が異なる。

ただし、同意があれば法的リスクを完全に回避できるわけではない。DLA Piperが2026年2月に公表した分析によると、Facebook Verifiedで認証を行うイリノイ州のユーザーは、同州のBIPAに基づく請求を過去に2度和解で解決した企業に、生体識別情報を提出することになる。また、現在進行中の連邦訴訟「Hartman対Meta Platforms」では、Metaの利用規約がカリフォルニア州法を準拠法としていても、BIPAはMetaのプラットフォームに適用されるとの判断が示された。Facebook Verifiedの登録画面に表示される同意文言が、BIPAの明示的同意に関する要件を満たすかどうかは、法的にはまだ決着していない。

EUも別途動向を注視している。2026年7月、欧州委員会は、FacebookとInstagramが依存性を高める設計機能によりデジタルサービス法(DSA)に違反している可能性が高いとする暫定的な見解を示した。違反が確定した場合、世界売上高の最大6%に相当する制裁金が科される可能性がある。EUは、Facebook Verifiedによる生体情報の収集に特化した見解をまだ示していない。またMetaはこれまで、英国、EU、韓国、米国のテキサス州とイリノイ州など、規制の厳しい一部の法域を顔認識機能の試験提供対象から除外してきた。Facebook Verifiedの展開でも同様の除外が適用されるかどうかは、Metaの公式発表では確認されていない。

■バッジがMarketplace、Dating、Groupsにもたらす意味と、変わらないこと

Metaは、見知らぬ人同士が大きなリスクを伴う形でやり取りする場に、このバッジを配置した。Marketplaceでは、面識のない販売者との対面取引が行われる。Datingでは、ユーザーがデジタル上のプロフィールだけを基に、現実の空間で相手と会う。Groupsでは、組織的ななりすまし行為が過去に大規模に行われてきたことをMetaの発表も認めている。

一方、バッジによって変わらないこともある。Marketplaceの認証済み販売者が偽造品を送る可能性は残る。Datingの認証済みアカウントが自分について虚偽の説明をする可能性もある。地域のGroupの認証済みメンバーが誤情報を共有することもあり得る。このバッジが埋めるのは、実在の人物とAIで生成された実体のないアカウントとの隔たりだ。誠実に行動する実在の人物と、詐欺を行う実在の人物との隔たりをなくすものではない。

このバッジは、ユーザーがプラットフォーム上の人やコンテンツと関わることに依存するMetaの基本的なビジネスモデルを変えるものでもない。ユーザーが相手とのやり取りを判断する際、バッジから分かるのは、そのアカウントに責任を持つ人間が実在するということだけだ。その人物が今後何をするかまでは示していない。

Metaは、Facebook Verifiedを一部の市場から段階的に提供し、世界各地に拡大する計画だと説明している。この機能は任意であり、Marketplace、Dating、そのほかの機能を利用するために認証を義務付ける計画は発表されていない。バッジが、多くのユーザーに無視される付随的な要素ではなく、意味のある信頼性の指標になるほど普及するかどうかは、Metaが製品内でどの程度目立つ形で表示するかに大きく左右される。また、高額商品を出品する販売者や、Datingの特定のマッチング機能を利用するユーザーに対し、認証を事実上の要件とする方向へ進むかどうかにも左右されるとみられる。

■注目ポイントQ&A

●Facebook Verifiedにセルフィーを提出すると、Metaは私の顔データをほかの目的にも使用できますか?

Metaは、ビデオセルフィーを既存のプロフィール写真と照合して本人確認を行い、その過程で照合用の数値形式の顔の「埋め込み」を生成すると説明しています。一方、バッジ付与後に埋め込みをどの程度の期間保持するのか、また、著名人をかたる詐欺の検出やアカウント復旧など、本人確認以外の目的に利用する可能性があるのかは、公に明らかにしていません。Metaは2024年10月、著名人を利用した詐欺の検出に顔認識を使い始めました。Metaのヘルプセンターには、本人確認と詐欺検出のために顔認識を使用すると記載されていますが、Facebook Verifiedの埋め込みをバッジ発行直後に削除するとは明記されていません。生体データの保持を懸念するユーザーは、登録前にMetaの最新のプライバシーポリシーを確認する必要があります。また、イリノイ州のユーザーには、BIPAによる、より強い法的保護があることにも留意すべきです。

●Facebook VerifiedはMeta Verifiedと同じですか?

いいえ。Meta Verifiedは、ウェブ版では月額11.99ドル(約1966円)、モバイル版では月額14.99ドル(約2458円)から利用できる有料サブスクリプションです。青い認証バッジ、なりすまし対策、強化されたアカウントサポート、リーチ面の特典などが含まれ、政府発行の身分証明書が必要です。一方、Facebook Verifiedは無料で、身分証明書は不要です。ビデオセルフィーだけで認証を行い、そのアカウントの背後に実在の人物がいることを確認するバッジを付与します。リーチ向上、クリエイター向け特典、優先サポートといった有料サブスクリプションの特典はありません。2つのプログラムは認証方法と目的が異なります。Facebook Verifiedは他のユーザーに対して実在性を示すためのもので、Meta Verifiedはクリエイターやビジネス向けのサービスです。

●認証済みのFacebookアカウントから詐欺被害を受ける可能性はありますか?

はい。バッジが確認するのは、実在の人物がMetaのセルフィー認証を通過し、認証時点でアカウントがプラットフォームの基本的な要件を満たしているということです。その人物の将来の行動を保証するものではありません。Marketplaceの認証済み販売者が、商品を発送しない、偽造品を販売する、販売内容を偽るといった詐欺を行う可能性はあります。認証済みのDatingプロフィールでも、その人物が自分について虚偽の説明をする可能性があります。Metaは、バッジはユーザーを推奨するものでも、信頼性を保証するものでもないと明言しています。バッジは複数ある判断材料の一つとして扱うべきです。公共の場所で会う、購入者保護のある支払い方法を使う、自分自身の判断を重視するといった対策の代わりにはなりません。

●なぜMetaは2021年に顔認識を停止したのに、現在は再び導入しているのですか?

Jerome Pesenti氏の当時の発表によると、Metaは2021年11月、「社会的な懸念の高まり」と明確な規制ルールが存在しないことを理由に、DeepFaceと呼ばれる顔認識システムを停止し、10億人以上のユーザーの顔テンプレートを削除しました。この措置は、同システムを巡るイリノイ州での集団訴訟について、Metaが6億5000万ドルを支払うことで合意してから数カ月後に行われました。

当時と現在の重要な法的相違は、DeepFaceが明示的なユーザー同意を得ずに動作し、生体情報による識別に自覚的にオプトインしていないユーザーがアップロードした写真から顔データを収集していた点です。Facebook Verifiedは、目的を開示したうえでユーザーが任意に登録する必要があり、従来のシステムにはなかった同意の仕組みを備えています。ただし、この違いによって現在の州の生体情報プライバシー法を完全に満たせるかどうかは、依然として未解決の法的問題です。特にイリノイ州では、Metaの顔認識の運用を巡る連邦集団訴訟が続いています。

元記事: Facebook Verified Launches: Meta Revives Facial Recognition It Once Deleted for Privacy

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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