AIブームでゲーム株に逆風、ソニー・任天堂の分かれ目は価格転嫁力と需要

2026年5月13日 13:43

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 AIブームが、ゲーム株にも逆風をもたらし始めている。直近の決算では、ソニーと任天堂の見通しや株価反応に違いが出た。

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 ロイターによると、AIデータセンター向け需要の拡大により、メモリー価格は2026年1-3月期に前四半期比で約2倍となり、今四半期も最大63%上昇する見通しだ。ゲーム機や周辺機器に使うメモリーの調達コストが上がる中、ソニーと任天堂の株価の分かれ目は、コスト増を価格に転嫁できるか、そして値上げ後も需要を維持できるかにありそうだ。

■任天堂の動向

 任天堂は値上げに踏み切った。5月8日の公表資料によると、日本では5月25日からSwitch 2の希望小売価格を引き上げ、米国などでも9月1日から価格改定を実施する。

 任天堂は決算発表にあわせて値上げも公表したが、その後は価格改定とソフト販売見通しの弱さが嫌気され、株価は7%下落した。

 任天堂はカジュアル層への依存が比較的大きく、価格改定が需要に与える影響を市場が慎重に見ている構図だ。

■ソニーの動向

 これに対し、ソニーはコスト増を抱えながらも、ゲーム事業の利益改善見通しが評価された。

 ソニーは3月に、PS5を日米欧で値上げすると発表。米国では標準モデルを549.99ドルから649.99ドルへ、日本でも価格を引き上げており、欧州でも改定を実施した。メモリー価格上昇の影響はあるものの、今期必要分のメモリーは確保できていると説明しており、ハード販売台数の減少を利益率改善で補う見方が支えになっている。

 収益源がゲーム専業に近い任天堂と比べ、ソニーは事業の多角化もあり、投資家の受け止め方に差が出やすい。

■投資家の注目ポイントは

 投資家目線では、次の株価を考えるうえで3つの点を確認したい。

 1つは、値上げ後も任天堂のハード需要が想定ほど落ちないか。2つ目は、ソニーがゲーム事業の利益率改善をどこまで維持できるか。3つ目は、AI向け需要に押されるメモリー高がどこまで長引くかである。

 ゲーム株は同じ逆風を受けていても、価格転嫁が通るかどうか、そして需要の粘りがあるかどうかで株価の明暗が分かれやすい。AIブームの裏側で、ソニーと任天堂の差はさらに鮮明になる可能性がある。

 ゲーム株はAIブームの恩恵を受ける側に見えても、最終的には価格転嫁と需要維持を両立できるかが、株価の明暗を分けるポイントになりそうだ。(記事:林田孝治・記事一覧を見る

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