日本株高は円安による幻想なのか!? 今後の持続性に注目

2026年1月20日 14:21

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 日本株の上昇が続く中、その背景を巡り市場では見方が分かれている。高市首相による解散総選挙により政権基盤が強化されることへの思惑が広がり、積極財政や産業支援策への期待が先行する形で株価を押し上げているとの見方がある。

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 一方でこうした上昇は、日本経済そのものへの評価ではなく、円安とインフレによる名目価格の拡大が主因ではないかとの指摘も多い。

 政策期待と株価上昇が重なる局面では、市場は将来像を先取りして動きやすい。ただその上昇が実力を伴うものか、通貨価値の低下を映した結果なのかを見極める必要がある。

■円安とインフレが株価を押し上げる構造

 円安が進行すると、円の購買力は低下する。企業価値が大きく変わらなくても、円建ての株価は上昇しやすくなる。海外投資家から見れば日本株は割安に映り、為替差益を含めた投資妙味が意識されやすい。

 またインフレ局面では、企業の売上高や利益が名目ベースで増えやすい。販売数量が横ばいでも、価格上昇によって売上額は拡大するためだ。ただし、原材料費や人件費などのコストも同時に上昇するケースが多く、実際の付加価値や購買力が高まっているとは限らない。

 このため、物価上昇によって数字上は成長していても、実質的な生産力や国民の所得が伸びなければ、経済の豊かさは改善しない。名目成長と実質成長の差は、インフレ局面ほど拡大しやすいとされる。

■高インフレ国と重なる株価上昇の性質

 トルコやアルゼンチンでは、高インフレと通貨安が長期化する中、自国通貨建て株価指数が大幅に上昇してきた。だが米ドル建てで見ると上昇幅は限定的で、実質的な資産価値は伸び悩んでいる。

 両国は慢性的な財政赤字を抱え、財政破綻への警戒が繰り返し浮上してきた。また外貨準備高も十分とは言えず、自国通貨の信認が低下しやすい構造にある。このため通貨安とインフレが同時進行しやすく、通貨価値の下落が加速する局面が多い。

 こうした環境では、現金や預金を保有し続けること自体が大きなリスクとなる。通貨価値の目減りを避けるため、国内資金は株式などの資産へ逃避しやすく、結果として株価指数が名目上、大きく上昇する。

 株価上昇は企業の競争力強化や生産性向上を反映したものというより、通貨価値下落への防衛行動としての性格が強い。株が強いのではなく、通貨が弱いことを映した動きとも受け止められている。

■日本株をどう評価すべきか

 日本は自国通貨建てで国債を発行しており、外貨建て債務に依存する国とは事情が異なる。加えて、外貨準備高も潤沢で、現段階で財政破綻の可能性が直ちに意識される状況にはない。こうした点で、トルコやアルゼンチンと同列に論じることはできない。

 一方で、日本市場でも政策期待、円安、インフレといった複数の要因が重なり、株価を押し上げている可能性があるのは事実だ。指数の上昇だけをもって、日本経済が本格的に実力評価されたと判断するのは慎重であるべきだろう。

 今後は、政策が実体経済にどこまで波及するのかが問われる。実質賃金の持続的な上昇や、企業による付加価値創出が伴わなければ、株価上昇が名目要因にとどまる可能性も残る。日本株高の中身を点検すべき局面に入っている。(記事:Osaka Okay・記事一覧を見る

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