終活のパートナー:鎌倉新書に、投資妙味も覚えるわけ

2025年10月6日 15:56

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埼玉県羽生市との協定の様子(画像: 鎌倉新書の発表資料より)

埼玉県羽生市との協定の様子(画像: 鎌倉新書の発表資料より)[写真拡大]

 鎌倉新書(6184、東証プライム市場)。終活関連のポータルサイトを展開している。その範囲は葬儀・墓・仏壇・保険・介護など広範囲に及んでいる。昨夏、弟・父親を亡くした際は救われた。

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 こと葬儀という段になると、費用が嵩む。「家族葬に対応してくれる葬儀場、僧侶」を求め、鎌倉新書のポータルサイトを活用した。エリア・金額の絞り込みが可能。費用ゼロ。費用は登録している葬儀場・僧侶+サイト場の広告で賄われる仕組みだからだ。

 そしてその折、痛感した。

 住処のエリア(自治体)で件の「ポータルサイトが活かせないものか」と。具体的には居住する地域の窓口で具体的な「相談ができないものか」である。鎌倉新書の広報担当者に問い合わせた。こんな活動が行われていることを知った。

 2021年から地方自治体と「官民共同事業」を開始した。噛み砕くと、こんな取組が行われる。

 (I)住民への終活に関する情報発信。
 (II)自治体職員への終活に関する研修の実施。
 (III)住民からの終活に関する相談対応。
 (IV)エンディングノート(自分に万一が起こった場合に備えて医療・介護、財産情報などを家族などに書き留めておくノート)の制作・印刷・納品。
 (V)終活便利帳(終活の第一歩を踏み出すためのポイント・チェックリスト、Q&A等を掲載したノート)の制作・印刷納品。

 裏返せば老齢者には「不得手」とも思われるポータルサイトの活用でなく、自治体の窓口がポータルサイトに代わり僧侶・葬儀社・墓地との間を取り持つことが可能になる。

 また鎌倉書店では情報の拡充に、相応の努力をしている。介護施設で言えば、2021年にエイジプラス(業界最大級の約7,000の介護施設提携数の企業)から子会社を設立し事業取得している。

 住まいの自治体が鎌倉新書と「終活連携協定」を結び「官民共同事業」が始まることは、鎌倉新書のPRマンのようだが「ウエルカム」である。直近で言えば、埼玉県羽生市が連携協定を結んだ。これで協定締結を結んだ自治体数は、33に及ぶ。

 鎌倉新書はコロナ禍で、大きな曲がり角を迎えた。「葬儀の在り方の簡素化」⇔「収入源」。2021年1月期は「0.8%減収、66.8%営業増益」。が、その年に「官民共同事業」を始めている点は言葉を選ばずに言えば「商売上手」ではある。

 本稿作成中の株価は、570円台。予想税引き後配当利回り2.78%。過去9年9か月余の修正済み株価パフォーマンス4.2倍水準。年初来高値から100円余り下値。自己資本比率68%余と安定した財務状況。600円余で単元株投資が可能。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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