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ジャズ文化が生んだ「Cat’s Meow」「Cool Cat」! 猫にまつわる英語イディオム (16)
1920年代、アメリカを彩った「ジャズエイジ」の熱気とともに、多くの独特なスラングが広まっていった。今回取り上げる猫にまつわる2つのイディオムも、そんなジャズ文化とともに生まれた表現である。
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■Cat’s Meow
直訳すれば「猫の鳴き声」になる「cat’s meow」は、「最高に素晴らしいもの」「際立って優れているもの」を指すイディオムである。
20世紀初頭のアメリカでは、「cat」という言葉が、夜のクラブで活動するミュージシャンや、その仲間を指すスラングとして使われていた。
猫は夜行性で、静かに動き、独特の存在感を放つ動物だ。猫のそんなイメージが当時のジャズマンと重なり、「cat」は自然体でスタイリッシュな人物を示す言葉として定着していった経緯がある。
そんな時代において、「cat’s meow」は新聞漫画家のTad Dorganによって考案されたとされている。「the cat’s pajamas」や「the bee’s knees」(いずれも「最高に素晴らしいもの」を意味する)など多くの新語を生み出した彼によって、この表現もその響きと洒落たイメージによって若者を中心に広まっていったのだ。
レトロな響きを伴いつつも、現代でもおもにアメリカ英語圏で、カジュアルな褒め言葉として用いられている。
例文
・That dress is the cat’s meow.
(あのドレスは本当に素敵だ)
■Cool Cat
「cool cat」もまた、アメリカのジャズ文化から生まれた洒落たイディオムだ。こちらは1940年代に広まったスラングで、流行に敏感で洗練された人や、落ち着いた余裕を持つ人物を称賛する言葉として使われるようになった。
1940年代、アメリカでは、ジャズマンなど「cat」と呼ばれる粋な人物たちが、さらに「cool」と形容されて称賛されるようになった。それ以前、「cool」とは文字通り「涼しい」や「冷静な」を意味する形容詞だったが、この時代のジャズ文化において、「ヒップ」「ファッショナブル」「時代の先端」などの新たな意味が加わったのだ。
つまり「cool cat」とは、冷静さと洗練、さらに、時代の先端を行くセンスを兼ね備えた人物を指す表現である。
やがてこの表現はジャズの世界を超えて一般化し、ファッションやライフスタイルの分野でも使われるようになった。現在では日常会話の中でも、「He’s such a cool cat.(彼は本当にクールなやつだ)」のように、性格や雰囲気を含めた幅広い意味で称賛のニュアンスを込めて使われている。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る)
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