クレスコ、26年3月期も2桁増益・大幅増配予想、、株主還元も大幅強化、株価は最高値更新の展開

2025年6月18日 06:58

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 クレスコ<4674>(東証プライム)は独立系システムインテグレータである。ビジネス系ソフトウェア開発や組込型ソフトウェア開発のITサービスを主力に、顧客のDXを実現するデジタルソリューションも強化している。26年3月期も2桁増益予想としている。受注が好調に推移し、人件費増加などを吸収する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお配当方針を変更(配当性向の目処を40%から50%へ引き上げ、中間配当を実施)して26年3月期も大幅増配予想とした。また自己株式取得も発表した。株価は急伸して最高値更新の展開だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■ITサービスを主力としてデジタルソリューションも強化

 独立系のシステムインテグレータで、ビジネス系ソフトウェア開発や組込型ソフトウェア開発のITサービスを主力としている。さらに成長戦略として顧客のDXを実現するデジタルソリューションも強化している。

 セグメント区分は、ITサービス(エンタープライズ、金融、製造の各分野のコンサルティング・開発・保守の総合サービス)と、デジタルソリューション(自社製品Creage、インテリジェントフォルダなど、顧客のDXを実現する製品・サービスからなるソリューション群)としている。

 25年3月期のセグメント別業績はITサービス事業の売上高が540億82百万円で営業利益(全社費用等調整前)が76億77百万円(内訳はエンタープライズの売上高が220億50百万円で営業利益が24億98百万円、金融の売上高が171億65百万円で営業利益が23億92百万円、製造の売上高が148億66百万円で営業利益が27億86百万円)、デジタルソリューション事業の売上高が46億77百万円で営業利益が1億67百万円、営業利益調整額が▲18億60百万円だった。収益面では案件別の採算性が影響し、企業のIT投資関連のため年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる特性がある。

■M&A・子会社再編

 M&A・アライアンスおよびグループ子会社再編では、23年2月に日本ソフトウェアデザイン(JSD)の全株式を取得して子会社化、23年3月にフォーラムエンジニアリング<7088>およびインドのSRM Globalとの3社共同で、フォーラムエンジニアリングのインド現地法人コフナビインディア社(22年10月設立)に出資した。23年9月には飲食業界のDX推進支援の拡大に向けて、ベトナムのレストラン&リテールテックスタートアップ企業CAPICHI社と資本業務提携した。23年12月には、セキュリティ脆弱性診断サービスやSOC(セキュリティオペレーションセンター)構築・運用など情報セキュリティサービスを展開するセキュアイノベーションと資本業務提携した。

 24年4月にはシステムコンサルティングやインフラ設計構築・運用などを展開するジェット・テクノロジーズを子会社化した。24年6月には連結子会社クレスコ ワイヤレスの全株式を譲渡した。24年7月には同社、連結子会社のJSDおよびメクゼスの3社の組織再編を実施した。メクゼスがJSDを吸収合併(合併後の商号はメクゼス)するとともに、同社がJSDの一部事業(JSDが名古屋営業所において営む事業の全て)を譲り受けた。3社のノウハウやリソースを地域別に整理・統合して人財・経営資源を有効活用する。24年9月には子会社のクレスコ・ジェイキューブが電気・電子部品業界に向けに特化した基幹システム開発の高木システムを子会社化した。

■働き方改革や健康経営を推進

 24年4月に発表した新中期経営計画2026(24年度~26年度)では、成長に向けた方向性として「IT・技術を通じて顧客の競争優位性を創出し、ともに社会を前進させるデジタル価値創造企業を目指す」を掲げた。目標値としては30年までに売上高1000億円企業を目指し、27年3月期売上高700億円、営業利益80億円、営業利益率11.5%、ROE15%を掲げた。配当性向は25年3月期より40%に引き上げる。またサステナビリティ経営関連の目標としては女性管理職比率13%、エンゲージメントスコア70などを掲げた。

 重点戦略としては、共創型モデル確立、品質リーダーシップ発揮、人的資本経営推進、技術・デジタルソリューション拡張、事業連携促進、デジタル変革実現、グループ一体経営を掲げた。

 事業別戦略としては、ITサービス事業のエンタープライズ分野ではワンストップサービスの提供拡大・効率化、主力業界の深耕、エンタープライズ領域のさらなる拡大、新しい価値のサービスの顧客との共創、金融分野ではバックエンド領域の拡大、データ連携・処理技術(ミドルウェア)の強化、共創をテーマとした業務推進、さらなるデータ利活用、業務知識の強化・法規制対応、製造分野ではインフォテインメント系の統合・充実、サイバーセキュリティ対応・セーフティな製品設計、モビリティ領域への集中、モビリティサービスの実装、顧客企業のITケイパビリティ強化、デジタルソリューション事業ではクラウド・オートメーション領域の継続的なアップデートへの取り組み、プリセールス・カスタマーサクセスの強化、経営課題の解決に寄与するソリューションの拡充、クレスコブランドのデジタルソリューション開発・実装、ブランド力向上による業界内の地位確立を推進する。24年7月にはグループ内AI技術活用等に取り組む仮想組織「生成AIビジネス変革研究室」を設立した。

 なお健康経営・社会貢献関連では、24年2月には2年連続でスポーツ庁「スポーツエールカンパニー」に認定された。25年3月にはスポーツ庁が認定する「スポーツエールカンパニー2025」に認定された。3年連続となる。また経済産業省と日本健康会議が選定する健康経営優良法人認定制度に基づく健康経営優良法人2025(ホワイト500)に認定された。健康経営優良法人は19年から6年連続、ホワイト500は2年連続となる。

■デジタルソリューションや自社オリジナル製品を拡大

 オリジナル製品・サービスではIoTのKEYAKI、AIのMinervae、クラウドのCreageを3大ブランドと定義し、ソフトウェア開発・システム開発の需要喚起を推進している。

 23年10月には。新たに開発したホテルの部屋割り業務最適化ツール「RooMagic」をリリース(JR九州ホテルズでの導入が決定)した。23年11月には歯のパノラマレントゲン画像から個々の歯を識別する情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムの特許を取得した。24年8月にはホテルの部屋割り業務最適化ツール「RooMagic」の新バージョンをリリース(横浜ベイシェラトンホテル&タワーズでの導入が決定)した。24年8月には新サービス「業務整理ワークショップ」をリリースした。24年11月には自動車産業サイバーセキュリティガイドライン対応サービスの提供を開始した。25年3月には生成AIを活用した「社内DX推進支援サービス」の提供を開始した。

■26年3月期2桁増益で大幅増配予想

 26年3月期の連結業績予想は売上高が前期比8.9%増の640億円、営業利益が17.0%増の70億円、経常利益が13.5%増の71億40百万円、親会社株主帰属当期純利益が11.2%増の49億円としている。受注が好調に推移し、人件費増加などを吸収する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

 なお配当については5月9日付で配当方針の変更を発表し、26年3月期より、配当性向の目処を従来の40%から50%へ引き上げるとともに、中間配当を実施することとした。これに伴い26年3月期の配当予想は前期比16円増配の58円(第2四半期末29円、期末29円)とした。連続大幅増配で予想配当性向は48.8%となる。

■株価は急伸して最高値更新

 25年5月9日に発表した自己株式取得(上限100万株または15億円、取得期間25年5月12日~25年11月28日)については、25年5月31日時点での累計取得株式総数が11万8700株となっている。

 株価は急伸して最高値更新の展開だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。6月17日の終値は1771円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS118円82銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の58円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS747円27銭で算出)は約2.4倍、そして時価総額は約744億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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