中計1年前倒し実現、COOが「新たな中計検討中」とする八重洲電機

2025年3月11日 09:23

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 絶好調ぶりを、痛感させられた。八重洲電機(3153、東証プライム市場)。清宮茂樹グループCOOをZoom取材する機会を得た。

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 2024年3月期の「7.6%増収、39.3%営業増益、38.7%最終増益、3円増配28円配」に続き、今3月期は期中の上方修正を経て「2.5%の増収(665億円)、33.5%の営業増益(52億円)、43.0%の最終増益(38億円/連続最高益更新)、8円増配36円配」計画。

 八重洲電機は至27年3月期の中計「売上高700億円、経常利益50億円、経常利益率7.1%」を公にしているが、清宮氏は問わず語りに「中計の見直しを検討中」とし、「26年3月期~28年3月期」の新規中計を作成し「営業利益率10%水準を視野に入れている」と具体案まで示した。言い換えれば今3月期で「中計は前倒しで達成」という次第。

 八重洲電機の源流は、日立グループ向けの専門商社。80周年を迎える現状での事業内容は、以下の3セクター。

 *総売上高の約50%を占める産業・設備事業: 空調設備分野(情報通信関連、半導体工場関連、医療・理化学向け等)、工場の生産設備やユーティリティ設備/公共事業の空港・水道案件等。

 *約30%を占めるプラント事業: 鉄鋼・銅・ステンレス業界を中心に新工場向け特高受変電新設工事、老朽化対応設備。石油・化学・ガス分野の老朽化大型工事等。昨今話題のカーボンニュートラル対応の、鉄鋼の高炉から電炉への変更にも対応する構え。

 *交通事業: 鉄道業界の設備更新・スマート保安。車両分野では新型特急電車や制業装置等。変電分野では信号・情報分野では運行管理システム等。

 強みは仕入先が日立G55.7%⇔取引先は上位30社の大手企業で54.8%を占めている点。そして強み・特徴は「コーポレートイン」体制。エンジニアが事業相手の企業に常駐している。

 周知のとおりいまは「エンジニア募集が熾烈な競争状態」。それは、八重洲電機とて例外ではない。「施策は」という問いかけに清宮氏は「人材委員会を設けている」とし、「総社員数が適宜か否かを含め、脱年功序列を進める、管理職登用への基準等を勘案した人事考課改正などの検討を進めている」と言った。

 好財務企業。利益剰余金は有利子負債の31倍水準。活用法はと言う問いかけには「納入設備のレンタル制を始めた。事業の効率化を図るためのM&Aとも取り組む」とする答えが返ってきたが・・・

 本稿作成中の株価は1600円台終盤入り口、予想税引き後配当利回り1.7%余。昨年来高値にジリジリと迫る流れ。ちなみに過去9年余の修正後株価パフォーマンスは、2.8倍強。さて、どうする・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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