「throw a wobbly」「tickety-boo」とは? イギリス英語のスラング特集 (28)

2024年2月18日 20:20

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 言語を問わずスラングには、人間の感情を表すものが多い。イギリス英語に関しても同様で、この種のスラングは多種多様である。今回は、感情の爆発を表す「throw a wobbly」と、物事が順調に進んでいることを示す「tickety-boo」という、対照的な2つの表現を紹介しよう。これらのスラングは、日常生活のさまざまなシーンで使われており、イギリス英語の豊かな表現力を垣間見ることができる。

【前回は】「take the biscuit」ってなに? イギリス英語のスラング特集 (27)

■Throw a wobbly

 「throw a wobbly」とは、「突然怒り出す」、「癇癪を起こす」、「急にパニックになる」などの意味を持つスラングだ。

 そもそも「wobbly」とは、「wobble」(ぐらぐらする、ふらつく)という意味の動詞から派生した形容詞。そこから、「throw a wobbly」で、怒りや恐れなどで感情が不安定にぐらぐらする様子を表すようになったのだろう。

 このスラングは、イギリスだけでなくオーストラリアでも通用する。ちなみに、オーストラリアでは、「throw」の代わりに「chuck」(ポイと投げる、投げ捨てる)を使った「chuck a wobbly」という形でも、よく用いられているようだ。

 ・She threw a wobbly when her flight was cancelled at the last minute.
 (フライトが直前でキャンセルになり、彼女は激怒した)

 ・He throws a wobbly every time his team loses a match.
 (チームが試合に負けるたびに彼はキレる)

■Tickety-boo

 「tickety-boo」とは、何かが順調に進んでいる状況を表現するスラングだ。

 はっきりとした由来はわからないが、1920年代から使用されているスラングで、ヒンディー語の「ṭhīk hai, bābū」(大丈夫です、先生)から来た可能性が指摘されている。イギリスによるインドの統治時代に、イギリス人が現地でこの表現を聞き、それを本国に持ち帰り、変形させて使うようになったという説がある。

 そのほか、フランス語の 「ce que t'es beau」(あなたは美しい)が変化したとする説、「that's the ticket」(「まさにそれだよ!」という意味のスラング)が「peekaboo」(「いないいないばあ」を意味する幼児語)の影響を受けて変化したとする説などもある。

 ちょっと古めかしいが、今日でも一部の人には使われてい言葉だ。

 ・Everything is tickety-boo with the project, we're right on schedule.
 (プロジェクトはすべて順調で、スケジュール通りに進んでいます)

 ・I was worried about my grandmother's health, but the doctor says she's tickety-boo.
 (祖母の健康が心配だったけど、医者は順調だと言ってくれた)(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る

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