「くる病」治療で先行する協和キリンの「電話相談室」は、医薬品企業の原点を覚える

2024年1月31日 09:23

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 協和キリン(東証プライム)。キリングループの孝行息子。医薬品、バイオが両輪。独自の抗体高活性化技術に強み。

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 孝行息子は依然、健在である。

 前2022年12月期は「13.1%増収、コア営業利益32.0%増、2.3%最終増益、5円増配51円配(配当性向38.9%)」。今12月期も「6.9%増収(4260億円)、1.5%コア営業利益増(880億円)、41.9%最終増益(760億円)、3円増配54円配(39.9%)」計画。通過した第3四半期の通期計画達成率はそれぞれ「72%、70%、70%」と積算の正しさ、事業環境の正確な把握を示している。

 至25年12月期の中計は「ありたい姿」として、「ROE10%以上」「CAGR(年平均成長率)10%以上」「コア営業利益率25%以上」「配当、継続増配。配当性向40%以上」が掲げられている。

 中計/今後を裏付けるだけの材料にも事欠かない。例えば、昨年10月に英バイオ企業:オーチャード社を最大707億円で買収契約。オーチャード社開発商品の米最優先審査結果は、3月中旬までに判明。etc・・・

 株式投資の対象としても中長期にわたり妙味を感じる。本稿作成中の時価は2300円台前半、予想税引き後配当利回り1.8%余。昨年4月の3150円から10月の2276円まで調整し戻り基調。IFIS目標平均株価2919円を待つのも一法と思えるし、10年間の調整済み株価パフォーマンス2倍強を勘案すると押し目拾いに徹し枕の下に入れ株価を追わないのも一法かとも思えるし・・・

 実は今回、協和キリンに目を向けた最大の理由は名前だけは知っていたが「くる病(骨軟化症)」の治療(薬)を牽引している点だった。1万人から5万人に1人の罹患者がいるという。

 調べた。発症時が子供の場合は「くる病」、大人になって発症した場合は「骨軟化症」と呼ばれる。骨・筋肉が柔らかくなり正常に成長しなくなる。子供の場合は脚が曲がってしまう(X脚・O脚)、身長が伸びにくくなるといった症状が現れる。大人では骨・筋肉などの痛みに見舞われる。原因としてはこんな風に指摘されている。

★食生活の乱れなどなどで、骨を硬くするリンの吸収を促すビタミンD不足。

★遺伝的な原因でビタミンDをうまく生かせなくなる 、リンが低下してしまう。難病に指定されている。

 医薬品メーカーが治療薬に力を注ぐのは当然だが、くる病に対し協和キリンが執っている施策は評価に値する。『くるこつ電話相談室』が設けられている。疾患について医療資格を持つスタッフが対応する。検査・治療への門戸が開かれる。医薬品企業の本来あるべき姿と思うが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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