木造住宅はやはり地震に弱いのか 新耐震基準の家が安心しきれない理由とは?

2024年1月28日 16:06

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記事提供元:エコノミックニュース

耐震改修工事の3段階に分けて行われるが、耐震診断だけならば、国や自治体の補助制度を利用すれば数千円程度で受けられる

耐震改修工事の3段階に分けて行われるが、耐震診断だけならば、国や自治体の補助制度を利用すれば数千円程度で受けられる[写真拡大]

 最大震度7を観測した能登半島地震の発生から、まもなく一ヶ月。回数自体は減っているものの、被災地とその周辺地域では、未だに体に揺れを感じる地震が続いている。気象庁でも、今後しばらくの間は最大震度5強程度の地震が発生する恐れがあると注意を呼び掛けており、被災地では安心して眠れない夜が続いているようだ。

 また、一月後半からは冬型の気圧配置が強まることから、西日本から北日本の日本海側を中心に寒さが厳しくなり、北陸地方でも大雪が見込まれている。積雪や路面の凍結による交通や流通の混乱や、救出作業や復興作業への影響が心配されるとともに、地震で損傷を受けた建物が雪の重みで倒壊したりする危険もある。また、寒さが厳しくなれば、避難所等で避難生活を送る人たちの衛生や健康面への影響なども心配だ。日本政府も、被災地の多様な支援ニーズにきめ細かく対応し、被災自治体をバックアップすると明言しているので、今後の迅速で手厚い対応を期待したい。

 そんな中、とくに北陸地方で、木造住宅耐震化への関心が高まっているようだ。自治体に対する補助制度への問い合わせや、住宅メーカー各社への問い合わせも、地震発生前に比べて倍増しているという。都市部では、新築や改築、再開発事業などに伴って、建物も新陳代謝しているが、地方では古い建物が多く、築40年や50年以上という家も珍しくない。

 石川県の発表によると、全壊や半壊、一部破損を含む住宅被害棟数は1月20日現在で3万1659棟にのぼり、倒壊した多くの住宅は2000年の耐震基準前に建築された家であると推察されている。また、耐震基準を満たしていても全壊や半壊していることから「木造住宅はやはり地震には弱いのではないか」という意見も出ているようだが、能登では22年、23年に相次いで震度5を超える地震が群発していたことが原因の一つに挙げられている。例え震度7に耐えられる新耐震基準であっても、何度も繰り返される大きな地震を想定したものではない。極端な言い方をすれば、震度7の地震が起こった際でも、一度だけ耐えられれば家族の命は建物の倒壊から守られる可能性が高くなる。それが新耐震基準だ。そしてそもそも、新耐震基準が改訂されたのは2000年。つまり、24年も前なのだ。経年劣化も当然ある。新耐震基準を満たした住宅であっても、築年数が経っている場合や、大きな地震等の後には、たとえ外観に異常が見られなくても耐震診断などを受けることをおすすめしたい。

 とはいえ、耐震改修のコストは持ち主の大きな負担となるので躊躇する人も多いだろう。耐震改修は主に耐震診断、補強プラン作成、耐震改修工事の3段階に分けて行われるが、耐震診断だけならば、国や自治体の補助制度を利用すれば数千円程度で受けられる。当然、そこで異常や劣化などが発見されれば、次の段階に進めることになるが、家族の命には代えられないのではないだろうか。

 また、新築やリフォームなどを考える際には、耐震に注力している住宅メーカーを選ぶことも大切だ。単純に基準を満たして満足しているのではなく、新耐震基準のさらにその上を目指している住宅メーカーもある。

 例えば、木造建築を手がけるAQ Group(旧アキュラホーム)は、2022年に世界初の木造軸組工法「5階建て純木造ビル」実大耐震実験を実施し、国の基準である地震波で倒壊・損傷なしの実証データを取得している上、それを上回る震度7クラスの地震波を計6回加振し、どこまで加振すれば損傷するのか、今までにない実証データを取得している。

 また、地震の際に大きな横揺れから木造住宅を守る大きな鍵となるのが「耐力壁」だ。

 柱や梁は、上下の荷重(鉛直荷重)には耐えることができるが、横から押す力に弱い。そこで、壁面に筋交いや面材(構造用合板)などを入れてフレームを固める。これが耐力壁だ。AQ Groupは、この耐力壁の強度を競い合う「壁-1グランプリ」という大会で何度も優勝している。いわば耐力壁のスペシャリストでもあるのだ。

 一方、住友林業は、一般的な柱の約5倍の太さを持つビッグコラム(柱)を軸とした、「ビッグフレーム(BF)構法」を独自に開発。ビッグコラムと梁、基礎を金属と金属によるメタルタッチで接合することで、強靭な構造躯体をつくり、耐震性と設計の自由度を両立することに成功している。同社では、震度6弱~4を224回加振した合計246回の振動実験を実施し、構造躯体の耐震性が維持され続けることを確認しているという。

 今回の能登地震の影響で、木造住宅に住まう人の中には大きな不安を感じていたり、これから木造の新築やリフォームを考えていた人の中には計画を見直すべきか悩んでいるという人も多いかもしれない。しかし、決して木造住宅が地震に弱いというわけではない。築年数が経っている家や、大きな地震を経験した家は一度、耐震診断を受けてみること、新築などの場合は、安心できる住宅メーカーを選択することで、不安の多くは解消されるだろう。

 日本に住む限り、いつどこで大きな地震に見舞われてもおかしくない。「新耐震基準の家だから」と安心しきっていないで、今回の能登地震の経験を胸に今一度、自宅の耐震性能を真剣に見つめ直していただきたい。(編集担当:藤原伊織)

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