「ジャニーズ」とは、「ジャニーとその取り巻き」を意味する 社名を残すのは「愚策」だ (下)

2023年9月15日 15:42

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 7日の記者会見で話されたポイントは5点に集約されるが、率直な印象は「何も変わらない」ということだろう。藤嶋ジュリー氏が社長を退任しても、100%の株主として代表取締役を継続するなら、新社長の東山紀之氏にどんな構想があったとしても単なる飾り物に過ぎない。

【前回は】「ジャニーズ」とは、「ジャニーとその取り巻き」を意味する 社名を残すのは「愚策」だ (上)

 株式の持ち分については財産権が絡むので簡単に解決することはできなくても、代表権は返上させるべきだった(話題集中のビッグモーターでも、前社長は100%の株主のまま経営からは手を引いている)。

 ジャニーズという会社名についても、関係者の強い思い入れがあって名称変更はしないと決めたようだが、昨日までの光り輝くジャニーズは既にない。今は何やらおぞましい行為を若年のタレント志望者に強要してきた性犯罪者を想起させる名称でしかない。

 この名称を目にするだけで、多くの人に嫌悪感を抱かせるリスクを感じていないのであろうか?この点だけでも、恐らく変更しないことに拘ったジュリー氏と、変更しないことを容認した東山氏の感覚には疑問を感じざるを得ない。

 新社長である東山氏が「(補償には)法を超えて」取り組むという趣旨の発言をしている。言葉の上だけの謝罪ではなく、誠心誠意対応する意思をより強く表現したかったという気持ちは伝わるが、「法を超えたら」収拾がつかなくなる。

 そもそも今回の性加害問題は、故ジャニー喜多川氏と被害者との2人の間で、かつ周囲の目のないところで起きた出来事だ。当事者の証言を補強してくれる目撃者としての第3者は存在しない。

 加えて、加害当事者のジャニー氏は既に故人であり、証言を求めることはできない。要するに、性加害問題の内容や状況を証言できるのは、被害者のみであり第3者が検証することもできない。言いなりで補償の対象とするのかという問題だ。個々の被害者の補償金額は一律にするのか差をつけるのかというデリケートな問題もある。

 既にスポンサー離れが報じられていることを考えると、スピード感を持って問題解決を図らなければ、最悪の事態すら懸念される状況であることを、関係者は十分認識する必要があるだろう。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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