パチンコ・パチスロ機器大手:マースグループHDの大幅増収増益の理由

2023年8月15日 08:27

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 2024年3月期決算:第1四半期の開示企業をチェックしていて、「へ~え」と驚かされた。マースグループホールディングス(6419。以下マースグループHD)。パチンコ店向け機器の大手企業。

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「パチンコ・パチスロ店、閉店続出」の先入観があったから、今3月期計画にまず首を捻った。「37.6%増収、62.4%営業増益、43.1%最終増益、15円増配85円配」。そして開示した第1四半期実績は、中間期予想「売上高130億円、営業利益28億円、純益45億円」に対し「83億5900万円、27億8800万円、22億2700万円」。中間期⇔通期の上方修正に期待を抱かせる。

 株式投資における先入観の「愚」を、改めて痛感させられた。マースグループHDの第1四半期の決算資料には、昨年12月12日付けの矢野経済研究所の「パチンコ・パチスロ機関連市場分析」が文字通り反映されていた。

 矢野経済では、こう発信していた。『2021年度の市場規模は前年度比124.3%の4343億円。依然として厳しい業界環境に変わりはないが、コロナ禍などで極端に縮小した市場に一定の底打ち感が示された。・・・更に今回の調査では、次世代スマート遊技機/6.5号機が好調な稼働推移を見せたこともあり高い期待感を示している。・・・パチンコホール側からすると、スマート遊技機の導入遅れが商圏での序列に影響を与える可能性が否めない』。

 マースグループHDはアミューズメント関連事業について、『スマート遊戯専用ユニット:スマートユニットを中心に少人数でホール運営が可能な「パーソナルPCシステム」及び遊戯データ等の収集・AI分析が可能な「マースユニコン」等の提案が功を奏し、生産体制を強化し安定供給に努めた結果スマートユニットの販売が好調に推移。・・・結果、アミューズメント関連事業の売上高は前年同期比244.8%増(68億1400万円)、営業利益は601.0%増(28億8800万円)となった』と説明した。

 同社の本稿作成時の株価(以下、同じ)は2618円水準。前期の好決算を見通すように昨秋から右肩上がりの状況を強め、第1四半期発表を機に3658円まで買い進まれた。時価はそれなりの調整を経た状況。予想税引き後配当利回り2.5%余り。

 ここからの株価動向には、「時価のPBR:0.73倍が材料視される公算」を指摘する声も聞かれる。ちなみにPBRの更なる改善を見通す上でポイントの1つになる「純資産」は、前年度末から28億3600万円増加し591億4400万円となっている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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