ドコモ、スマホのデータから免疫力の変化予測する「免疫力推定AI」開発

2023年5月9日 16:17

印刷

健康マイレージ上での免疫力推定AIのUIイメージ(画像:NTTドコモの発表資料より)

健康マイレージ上での免疫力推定AIのUIイメージ(画像:NTTドコモの発表資料より)[写真拡大]

  • 免疫力推定AIの利用イメージ(画像:NTTドコモの発表資料より)
  • ヘルステック基盤のイメージ(画像:NTTドコモの発表資料より)

 NTTドコモは8日、スマートフォンに蓄積されたデータから所有者の免疫力の変化を予測する「免疫力推定AI」を開発したと発表した。自治体向けにサービスを提供する。同社が手がけるヘルスケアサービスの新機能として提供し、2023年11月から開始予定という。

【こちらも】老化によって免疫力が低下する原因の一端を解明 京大ら

 5月8日より新型コロナウイルスは5類に引き下げられ、対応が縮小された。ドコモはそうした社会状況を踏まえ、免疫力推定AIを開発。AIの提供により、自治体の課題解決支援や住民の不安軽減を目指しており、希望する自治体には無償提供を予定している。

 免疫力推定AIは、スマートフォンの収集データをもとに抗体の一種である「IgA」の分泌量を捉えて、免疫力の変化を推定する。IgAは、特に眼や鼻、喉、消化官などの粘膜組織に多い抗体で、病原体やウイルスの侵入を防いで感染を阻止する。

 ドコモは、医学的事実として報告されていたIgAの分泌量と睡眠などの生活習慣との関連に着目。生活習慣情報などとIgAの日常的な変化との関係性を学習させ、免疫力推定AIを開発したという。

 AI分析には、スマートフォンから取得できる睡眠・運動情報などの生活習慣関連のデータのほか、位置情報を活用する。使用者はスマートフォンを持ち歩くだけでよい。データ収集は、本人の同意を得た上で行うという。

 自治体へは、ドコモの「健康マイレージ」の機能として提供する。健康マイレージは、スマートフォンを用いた自治体向けのヘルスケアサービスで、18年2月の開始以降、60万人以上、累計133の自治体に利用されている(22年8月末時点)。

 健康マイレージでは、歩くと健康ポイントなどを付与して健康維持を促すサービスや、AIが蓄積データとオープンデータを分析してフレイルリスクを検知しアドバイスを行うサービス、オンライン診療などを展開。23年2月にはマイナポータルと連携を開始し、特定健診データを用いた健康促進なども行っている。

 今回追加となる免疫力推定AIの用途は、自治体では例えば、免疫力の推定結果に基づいた健康指導の実施や、免疫ケアイベント開催などを想定している。また住民に対しては、免疫力スコアを毎週通知すると共に免疫力ケアに向けた推奨行動を提示して、行動変容を促すという。

 ドコモは機能提供にあたり、免疫力推定AIを、フレイル推定AIなどヘルスケアに関する既存AIを搭載したヘルステック基盤に実装する。基盤はAPIで連携可能で、現在事業者向けに提供を行っている。免疫力推定AIも自治体への展開の先に、金融や製薬など幅広い領域への展開が想定される。(記事:三部朗・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事