帰宅後の手洗いは早めに ウイルス感染リスクを可視化 筑波大とライオン

2023年3月11日 08:11

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家庭内接触感染リスクを可視化したフロー(画像: 筑波大学の発表資料より)

家庭内接触感染リスクを可視化したフロー(画像: 筑波大学の発表資料より)[写真拡大]

 筑波大学とライオン(東京都台東区)は8日、帰宅直後のウイルスの居住内感染リスクを、見える化するシミュレーションモデルを開発したと発表した。これまで飛沫感染に関するシミュレーションモデルは豊富にあったが、接触感染は十分でなかった。玄関内で早めに手洗いや消毒を行うことで、ウイルス接触リスクが低減することを証明している。

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 帰宅後に手洗いを行ったとしても、それまでに生活者が様々な物品を触ってしまい、ウイルスを持ち込んでいる。そのためウイルスの量は帰宅後30分手を洗わなかった場合と同程度になってしまう。さらに他の同居者が、ウイルスの付着した物品を触ることで、居住内に拡散すると分かった。

 だが一方で帰宅後に物品接触14回以内で早めに手洗いを行うと、30分洗わなかった時と比較して100分の1~1000分の1までウイルスの量が減少。玄関でアルコール消毒を行ったり、早めに手洗いするなど適切なタイミングの衛生行動が、接触感染リスクを下げると示唆された。

 新型コロナウイルスをはじめとした病原体の感染経路には、「飛沫・空気感染」や「接触感染」がある。飛沫・空気感染に関しては研究が進んでおり、病原体を含む飛沫やエアロゾルがどのように人から放出され、他の人の体内に吸い込まれるかが明らかになっている。

 だが接触感染においては、ウイルスの付着した手指や物品から、病原体がどのように人に取り込まれるかが十分に研究されていなかった。これを明らかにし、接触感染に適切な対策をとれることを目指し、筑波大学とライオンの研究グループは開発に取り組んだ。

 100人の成人を対象にアンケートを実施。帰宅直後から30分で入室した部屋や物品の手順、手洗いや消毒のタイミングを調べた。インフルエンザウイルスを使って、ウイルスの移動量を測定し、移動量パラメータを取得。帰宅後30分の人の動線と接触行動を再現するシミュレーションモデルを構築した。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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