【映画で学ぶ英語】『ゴッドファーザー』の映画史に残る名言

2022年12月27日 18:29

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 1972年に公開された『ゴッドファーザー』は、イタリア系アメリカ人マフィア一族の表と裏を描いた犯罪映画。「PART II」(1974年)、「PART III」(1990年)と続く壮大な3部作の第1作である。

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 今回はこの映画のキメゼリフ「文句は言わさん」の原語と、そこから派生した証券用語の意味を解説したい。

■映画『ゴッドファーザー』のあらすじ

 ニューヨークのマフィア・コルレオーネ・ファミリーのボス、ヴィトー(マーロン・ブランド)はシチリア島出身のイタリア系移民。子どものとき地元のマフィアに家族を殺され、単身アメリカに渡ってきた。

 異郷で妻子や友人たちを守るため、悪事に手を染めたヴィトー。4人の子どもたちが成人した今では、各界にコネを持ち、裕福な暮らしをしている。

 そのヴィトーに、麻薬王ソロッツォが麻薬ビジネスへの投資と、警察からの保護を求めてきた。麻薬が嫌いなヴィトーは断るが、ソロッツォや彼の仲間のファミリーと争いになり、ヴィトーは重傷を負わされた。

 家督を継いだ長男・サニーは復讐に乗り出す。血で血を洗う抗争は、それまで「ファミリー・ビジネス」とは無関係だった三男・マイケル(アル・パチーノ)の運命も狂わせていくのだった。

■映画『ゴッドファーザー』の名言

 映画の冒頭はヴィトーの娘・コニーの結婚披露宴。ヴィトーが洗礼の代父(ゴッドファーザー)となって、実子のように可愛がってきた有名歌手ジョニー・フォンテーンが登場し、招待客は大喜びだ。

 やがて書斎で知り合いの頼み事を聞くヴィトーのところに、やつれきったジョニーがやってきた。

 喉を痛めたジョニーは、俳優に転向しようと考えている。ちょうどそこに彼にピッタリの大作映画の企画が持ち上がった。しかしジョニーに恨みがある映画会社の社長は、彼にだけは絶対に主役をやらせないと意固地になっている。

 メソメソするジョニーを、「男らしくしろ」と励ますヴィトー。社長を説得してやると言われても、ジョニーは「撮影開始は1週間後」と不安気だ。

 そんなジョニーにヴィトーが言うキメゼリフ。

 I’m gonna make him an offer he can’t refuse. - 「文句は言わさん」

■表現解説

 まず、このセリフがどうして「文句は言わさん」と訳されるか、その意味を解説しよう。

 Make an offerは「オファーをする」というイディオム、he can’t refuseの前にan offerにかかる関係代名詞が省略されている。「彼(映画会社の社長)が断れないオファーをするつもり」、要するに「断れないようにする」から「文句は言わさん」になるわけだ。

 この映画のセリフから派生した証券用語が、「Godfather offer」だ。米NASDAQのサイトにある用語集では、次のように解説されている。

 An aggressive takeover technique in that the proposed offer of the acquiring company is so large that management of the target company cannot refuse, out of fear of lawsuits or shareholder revolt.

 「攻撃的な買収手法の一つ。買収を仕掛ける企業が、買収される会社の経営陣が訴訟や株主の反乱を恐れて断れないほどの大きなオファーを出すこと」

 具体的には、株式公開買い付け(tender offer)で現在の市場価格を大きく上回る額を提示することである。

 映画でヴィトーが出したオファーはそこまで強引なものではない。それを断ったスタジオの社長は、本当に恐ろしい目に遭うことになるのだが....。(記事:ベルリン・リポート・記事一覧を見る

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