ヒーハイストは反発の動き、23年3月期減益予想だが上振れ余地

2022年10月27日 09:14

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 ヒーハイスト<6433>(東証スタンダード)は直動機器を主力として、精密部品加工やユニット製品も展開している。小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。23年3月期は原材料価格高騰、さらに「スマート生産プロジェクト」の一環とする設備投資や開発投資といった成長投資の影響を考慮して減益予想としている。ただし主力の直動機器の需要は半導体業界向けを中心に高水準であり、物流停滞影響も緩和方向である。会社予想は保守的な印象が強く上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して年初来安値を更新する場面があったが、その後は売り一巡して反発の動きを強めている。低PBRも評価して出直りを期待したい。

■小径リニアボールブッシュの世界トップメーカー

 20年7月1日付で商号をヒーハイスト精工からヒーハイストに変更した。独自の球面加工技術や鏡面加工技術をコア技術として、直動機器(リニアボールブッシュや球面軸受けなど)、精密部品加工(レース用部品や試作部品の受託加工など)、ユニット製品(液晶製造装置向けなど)を展開している。

 小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。リニアボールブッシュは機械装置の稼働部に用いられる部品で、金属と金属の接触面を鋼球が転がりながら移動することで摩擦による影響を低減し、機械装置の寿命を延ばす役割を担っている。

 22年3月期の製品別売上構成比は直動機器67%、精密部品加工29%、ユニット製品4%だった。主要販売先はTHK<6481>および本田技研工業<7267>である。収益面では産業機械・電子部品・自動車関連の設備投資動向の影響を受けやすく、設備投資関連のため四半期業績が変動しやすい特性もある。

■生産能力向上と採算性向上を推進

 収益力向上および経営基盤強化に向けた重点方針として、生産能力向上とコストダウンによる採算性向上、QCDの徹底追求による顧客対応力の強化、顧客ニーズに適合した応用製品の開発と販売、主力製品リニアボールブッシュの競争力強化による拡販、提案型技術営業による新規顧客開拓、海外販売網の構築・強化、従業員の上昇志向と能力の向上を推進している。

 21年10月にはESG経営の一環として、秋田県の大学生有志(国際教養大学、秋田大学、秋田県立大学の3大学)が進めている花火打ち上げプロジェクト「輝け!僕らの秋田ゆめ花火プロジェクト」に協賛した。21年11月には、川越市と川越商工会議所が認定・表彰する「川越ものづくりブランドKOEDO E―PRO」において、クサビ式減速機構を搭載した超精密1軸ステージおよび超精密XYθステージが令和3年度大賞を受賞した。

 22年5月には「スマート生産プロジェクト」の一環として、直動機器の増産を目的として埼玉工場の敷地内に「無人工場棟」を建設すると発表した。投資金額は約2億円(生産設備、移動費用を含まない)で、22年10月着工予定、23年3月完成予定としている。

■23年3月期減益予想だが上振れ余地

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比1.3%減の27億07百万円、営業利益が53.7%減の1億05百万円、経常利益が59.6%減の1億04百万円、親会社株主帰属当期純利益が65.7%減の75百万円としている。配当予想は22年3月期比2円減配の2円(期末一括)としている。

 第1四半期は売上高が前年同期比20.2%減の5億66百万円、営業利益が7百万円の赤字(前年同期は1億13百万円の黒字)、経常利益が0百万円の赤字(同1億20百万円の黒字)、親会社株主帰属四半期純利益が2百万円の赤字(同87百万円の黒字)だった。

 中国のロックダウンによる物流停滞の影響などで減収となり、各利益は減価償却費の増加なども影響して赤字だった。部門別売上高は、直動機器が中国のロックダウンによる物流停滞の影響などで8.5%減の3億98百万円、精密部品加工がレース用部品の減少で42.6%減の1億28百万円、ユニット製品は調達面の制約の影響などで21.9%減の39百万円だった。

 通期予想は据え置いている。製品構成の変化、原材料価格や物流費の高騰、さらに「スマート生産プロジェクト」の一環とする設備投資や開発投資といった成長投資の影響を考慮して減益予想としている。ただし主力の直動機器の需要は半導体業界向けを中心に高水準であり、物流停滞影響も緩和方向である。会社予想は保守的な印象が強く上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化も影響して年初来安値を更新する場面があったが、その後は売り一巡して反発の動きを強めている。低PBRも評価して出直りを期待したい。10月25日の終値は243円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS12円16銭で算出)は約20倍、今期予想配当利回り(会社予想の2円で算出)は約0.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS517円09銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約15億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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