為替週間見通し:上げ渋りか、9月米消費者物価指数が有力な手掛かり材料に

2022年10月8日 14:22

印刷

記事提供元:フィスコ

*14:22JST 為替週間見通し:上げ渋りか、9月米消費者物価指数が有力な手掛かり材料に
【今週の概況】
■米長期金利上昇を意識してドル買い強まる

今週のドル・円は強含み。米国の9月ISM製造業景況指数の悪化や8月JOLT求人件数の減少を嫌気してリスク選好的なドル買いは縮小し、10月5日に143円53銭まで下落した。しかしながら、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁が2023年の利下げは予想しないとの見方を伝えたこと、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁は「高過ぎるインフレ抑制で利上げを継続していく」との方針を再確認したため、長期金利の上昇に伴いドル買い・円売りが優勢となった。

7日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時145円44銭まで買われた。この日発表された9月米雇用統計で失業率は8月の3.7%から2.5%に低下し、11月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75ptの追加利上げが決定される可能性が高まったことがドル上昇につながった。ドル・円は145円31銭でこの週の取引を終えた。今週のドル・円の取引レンジは、143円53銭から145円44銭となった。ドル・円の取引レンジ:143円53銭−145円44銭。

【来週の見通し】
■上げ渋りか、9月米消費者物価指数が有力な手掛かり材料に

来週のドル・円は上げ渋りか。日米金利差が意識され、ドル・円は主に145円を上回る水準で推移する可能性がある。ただ、米インフレ関連指標の伸びが鈍化すれば、利上げ加速への期待は一服し、金利安がドルの重石になりやすい。12日公表の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月開催分)はタカ派的なトーンとみられ、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑止を最優先させる方針が改めて示される。それを受け、金融引き締め長期化への思惑からドル買いに振れやすいだろう。

注目されている経済指標は13日発表の米9月消費者物価コア指数(CPI)。市場予想は前年比+6.5%と前月の+6.3%を上回ると予想される。高インフレが続いているが、市場予想を下回った場合、今後の連邦公開市場委員会(FOMC)で引き締め姿勢は多少弱まる可能性から、長期金利は伸び悩みドルの一段の上昇を抑制する展開となりそうだ。ドル高・円安の基調が変わる可能性は低いものの、直近高値の145円90銭近辺を継続的に上回ること想定しにくい。

一方、欧州通貨安・米ドル高の流れはしばらく続くとみられるが、欧州中央銀行(ECB)や英中央銀行(BOE)のインフレ抑止に向けた政策方針を背景に割安感からユーロやポンドの買い戻しも期待される。ドル・円については日米金利差の拡大が想定されており、上昇基調を維持しよう。ただ、日本政府・日本銀行による円買い介入を警戒して、1ドル=145円台でドル買い・円売りがさらに強まる可能性は低いとの見方が多いようだ。

【米・9月消費者物価コア指数(CPI)】(13日発表予定)
13日発表の米9月消費者物価コア指数(CPI)は前年比+6.5%と予想されており、インフレ率は8月実績を上回る見通し。ただ、市場予想を下回った場合、インフレピークアウトの思惑からドル買いは後退か。

【米・9月小売売上高】(14日発表予定)
14日発表の米9月小売売上高は前月比+0.2%と、8月の+0.3%を小幅に下回る見通し。市場予想を下回った場合、国内総生産(GDP)の3期連続マイナスが警戒され、ドルは買いづらい展開となりそうだ。

予想レンジ:143円00銭−147円00銭《FA》

関連記事