【どう見るこの株】日本ホスピスホールディングスは上値試す、22年12月期大幅増収増益予想

2022年9月27日 09:16

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 日本ホスピスホールディングス<7061>(東証グロース)は、入居者を末期がん患者や難病患者に限定した終末期ケアのホスピス住宅事業を主力としている。緩和ケア品質を維持・向上しながら施設数を増加する成長・拡大期のための土台が整ったとして、新規施設開設を加速している。22年12月期は新規開設施設が順次利益貢献して大幅増収増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は1月の年初来高値を抜けずに戻り高値圏から反落したが、利益確定売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。

■終末期ケアのホスピス住宅事業

 入居者を末期がん患者や難病患者に限定した終末期ケアのホスピス住宅事業を主力として、訪問介護事業や在宅介護事業も展開している。利用者1人あたりの医療従事者数、上位グレード資格者数(がん専門看護師など)は業界NO.1で、ホスピス住宅を拠点とした生活の質へのこだわり、看護師を中心とした多職種チームによる医療ケア、3つの制度(介護保険、医療保険、障がい者総合支援)を活用した高付加価値モデルを特徴・強みとしている。緩和ケア品質を維持・向上しながら施設数を増加する成長・拡大期のための土台が整ったとして、新規施設開設を加速している。

 ホスピス住宅は22年12月期第2四半期末時点で関東・東海・関西および北海道に合計28施設・866室を展開している。22年12月期第1四半期~第2四半期にはM&Aを含めて5施設・151室を追加した。平均入居率は21年12月期までに開設した既存施設が83.3%、22年12月期第1四半期~第2四半期に開設した新規施設が33.4%となっている。なお22年4月にノーザリーライフケア(北海道札幌市)を子会社化して北海道に進出した。

 22年12月期第3四半期には2施設・68室、第4四半期には1施設36室の開設を予定しており、期末時点では合計31施設・970室(2021年12月期末比8施設・255室増加)となる計画である。

 なお新規開設のホスピス住宅の収益モデルは、開設準備期(3カ月~6カ月)は施設長等の決定やスタッフ採用・教育研修等のホスピスチーム作りの期間、立ち上げ期(6カ月~12カ月)は入居者の受入開始~稼働率の段階的向上~稼働率向上に伴う単月黒字化の期間となり、平均稼働率が85%に到達して安定稼働期に入ると累積で黒字転換して収益安定期に入る。

■25年12月期経常利益21億円目標

 中期経営計画(23年12月期~25年12月期)では、最終年度25年12月期の目標値に施設数60施設・2000室、売上高170億円、経常利益21億円、経常利益率12.4%を掲げている。

 社会課題の解決を目指すESG企業として「ホスピスの研究と普及」をミッションに掲げ、企業理念である「増加する看取り難民を解消するための在宅ホスピス推進」に取り組む方針だ。具体的な取り組みとして、ホスピスケア品質向上に向けた様々な形態(居室数・厨房の在り方など)への挑戦、複合型サービスの提供(看護小規模多機能型居宅介護の併設、自宅への訪問看護サービスの提供など)による地域医療ネットワークへの貢献、ホスピス人材の育成と女性の活躍などを推進する。

■22年12月期大幅増収増益予想

 22年12月期連結業績予想は、売上高が21年12月期比32.9%増の80億円、営業利益が58.8%増の9億50百万円、経常利益が82.0%増の7億60百万円、親会社株主帰属当期純利益が86.9%増の4億50百万円としている。新規開設施設が順次利益貢献して大幅増収増益予想としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比24.4%増の35億09百万円、営業利益が60.5%増の3億06百万円、経常利益が2.1倍の2億51百万円、そして四半期純利益が2.1倍の1億40百万円だった。

 施設数の増加で大幅増収となり、利益面は第1四半期~第2四半期に新規開設した施設(立ち上げ期)の開設準備コストおよび運営赤字額、第3四半期以降に開設する新規施設(開設準備期)の開設準備コストが減益要因だが、既に安定稼働期となっている施設が堅調に推移し、前年同期時点では立ち上げ期だった施設の稼働率向上に伴う利益貢献額(黒字転換または赤字縮小)が増益要因となり、全体として大幅増益だった。

 通期予想は据え置いている。第1四半期~第2四半期に新規開設した施設が立ち上げ期であり、第3四半期以降に開設する施設の開設準備コストも発生するが、前期まで立ち上げ期だった施設の稼働率向上による利益貢献額が上回るため、全体として大幅増益予想としている。第2四半期累計の進捗率は、売上高が43.9%、営業利益が32.2%と低水準の形だが、期末に向けて稼働率が順次上昇するため懸念要因とはならず、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は22年1月の年初来高値を抜けずに戻り高値圏から反落したが、利益確定売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。9月22日の終値は1918円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS56円28銭で算出)は約34倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS191円00銭で算出)は約10倍、そして時価総額は約154億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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