女性管理職が「管理職比率公開」だけでは増えない、と考える理由

2022年7月4日 16:11

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 金融庁の金融審議会作業部会が5月23日、「上場企業の『四半期報告書』を廃止し監査法人未確認の『決算短信』に一本化」「上場企業の女性管理職比率の公開を義務化」などを明記した報告書案を了承した。金融庁は具体化を進めるという。

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 私的には前者は個人投資家作りで、スタンダード・グロース企業のIR活動を妨げかねないという視点から「反対」。後者に関しては・・・

 JTLPT(労働政策研究・研修機構)の調べによると2016年段階で、日本の管理職に占める女性の比率は「12.9%」。米国:43.8%、英国:36.0%、ドイツ:29.3%、フランス:32.9%、オーストラリア:36.6%、フィリピン:48.9%等々と比べると確かに低い。

 人財サービスのAdecco Groupの日本法人(以下、アデコ)でも、2021年3月に世界経済フォーラムが発表した「ジェンダーギャップ指数2021」を基に「日本は総合スコアで156カ国中120位」とし、要因の1つとして「管理職の女性の割合が低い」点を指摘している。

 同時にアデコでは3月8日に、「女性管理職(1065人)を対象にした意識調査(2018年・2021年比較)を配信。『管理職への登用を自ら希望した人は約1割、さらなる昇進・昇格を希望する女性管理職は半数以下 女性管理職を増やすには、「子育て・介護と仕事の両立支援」、「管理職の役割の見直し」が必要』とする調査結果を発信している。

 詳細は見出しから検索いただき読んでみて欲しいが、実に的を射た調査結果のレポートである。確かにレポートにもあるように2018年では「自らの希望」で管理職(課長相当以上)に就いた女性は9.8%、対して21年では11.9%と増加傾向にはある。

 が、根本的な対策として「上場企業の女性管理職比率の公表義務化」は、果たして適当だろうか。首を捻る。それよりもアデコの調査からも窺えるように、「子育て・介護と仕事の両立支援」策の拡充ではないだろうか!?

 財経新聞の企業・産業欄に何回か投稿した企業に、上場準備も進んでいるユニファがある。保育園児の安心安全と保育士の効率的働き方、かつ親の働きやすい環境整備作りをIT技術の活用で展開している企業だ。

 創業者社長の土岐泰之氏が2013年に起業した。大学の同級生と結婚、子も授かった。だが土岐氏の職場は東京、奥方は愛知。土岐氏から「当初は彼女が面倒を見ることになるだろう・・・と思っていたが、彼女の就労意欲は高まるばかり。徐々に自分が・・・という覚悟を固めざるをえなくなっていった。それなら女性の就労意欲も引き出せるような仕事を、と考えたのがユニファ起業のキッカケだった」と打ち明けられた。

 女性管理職増には、男性の「意」も大きな要因になると考えるが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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