デロイトトーマツがESジャパンと協業 企業の不正調査に「感情解析」

2022年1月15日 16:14

印刷

 デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー(以下、DTFA:東京都千代田区)とESジャパン(東京都豊島区)は13日、「感情解析技術」に関する協業を開始すると発表した。対話時の音声を解析し、会話の真偽や矛盾などを見える化する。企業の不正調査やコールセンター対応の高度化などに活用する。

【こちらも】NTTデータスマートソーシング、AIで経費不正検知 「e-ZERO」で提供

 ESジャパンは感情分析のスペシャリスト。対話者の音声から「喜び」「怒り」「恐怖」「ストレス」などの感情状態割り出し数値で示す。それをもとに真偽性や潜むリスク、矛盾、性格など役立つ情報として出力する。

 DTFAは組織の不正会計や贈収賄、横領などの不正や、コンプライアンス違反の調査サービスを手掛けている。その中で、不正当事者との面談や内部通報者対応、コールセンター対応などを実施。不正と人間心理の関連分析の知見を深めてきた。両社が互いのノウハウと知見を共有することで、感情解析のDX化を進める。

 新型コロナウイルスの影響で、多くの企業がリモート環境へ急速にシフト。従来の手法ではガバナンスや業務プロセス統制脆弱性のリスクが見えづらくなった。事業に深刻なダメージを与える不正やコンプライアンス違反が起こり得る可能性が高まったため、調査需要が拡大。両社は、協業により感情解析の高度化を図る。

 ESジャパンの親会社CENTRICはコールセンターを運営しており、百数十万の音声データと紐づく感情分析データを収集。ビジネス業績評価指数との比較を行うなどし、ビジネスにどう活用するかを熊本大学と共同研究してきた。

 デロイトトーマツは資産横領、贈収賄、情報漏洩、粉飾決算、データ偽造などの不正調査支援サービスを行っている。不正発覚後や兆候がある場合に、内容や損害規模の調査、事実解明、原因解明などを実施。是正措置対策のために専門家チームがアドバイスも手掛けている。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事