改正道交法 職業運転者巡る比較的優しい規定改正と課題は

2022年1月3日 11:48

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記事提供元:エコノミックニュース

2017年3月12日スタート、改正道路交通法による中大型免許のおもなポイント(出典:政府広報オンライン)

2017年3月12日スタート、改正道路交通法による中大型免許のおもなポイント(出典:政府広報オンライン)[写真拡大]

■中・大型免許の規定緩和処置「改正道路交通法」

 2022年6月30日に施行される「改正道路交通法」には、これまでと異なった規定変更が幾つかある。大きく自動車運転“規制強化施策”と“規制緩和処置”に分けられる。が、ここでは規制強化ではなく、“規制緩和処置”にフォーカスしたい。

 大型トラックをドライブし、貨物を満載・駆使して全国を縦断する物流業界では、ドライバーの高齢化と人材不足が問題視されて久しい。高齢化と共に問題となっている人材不足を解決するため、関係省庁と物流企業がさまざまな取り組みを行なうものの、「若手人材の採用に至らない」「採用後、実際に運転業務に就くまで数年を要する」と苦悩する現場が多い。

 そこで問題となっている若手人材を物流現場の即戦力として働く「免許受験資格の緩和法案の国会提出」「今後の物流業界に求められている課題」を考察する。

 トラックやバスなどの大型車、タクシーなど二種免許が必要な運転業務に就く人材不足と高齢化が深刻だ。この状態が続けば、安定的に業務を遂行できない可能性が指摘され、業界団体から「運転免許の受験条件緩和」を求める声が上がっていた。

 厚生労働省によると、職業ドライバーの平均年齢は大型トラックが48.6歳、中型トラックは45.9歳で、全産業の平均42.9歳と比べて、平均年齢が高い。年齢構成別では40歳代~50歳代前半が全体の45.15%、29歳以下の割合が9.3%で、すべての産業に較べ高齢化が進み、このままではドライバーの高齢化は進む一方だ。

 この問題解消のために運転免許受験資格の緩和について、2016年にタクシー業界、2017年にバス業界が政府規制改革推進本部に対し、二種免許の受験資格の見直しを求めた。加えて、2019年には、全日本トラック協会が警察庁交通局長に対し、中・大型車免許の見直しを求め、要望を受けた警察庁は、2019年2月に「適切な安全対策を講じることができれば、受験資格を特例的に見直すことは適当」と提言したとされている。

 このような経緯を背景に、2020年通常国会に「道路交通法の一部改正案」が提出。トラックドライバーに必要な中・大型免許、乗員の移動が目的のタクシーやバスの運転に必要な二種免許が取得できる年齢および普通自動車免許の保有歴を引き下げる特例措置が盛り込まれた。

 2017年にひと足先に改正された主なポイントは、準中型自動車運転免許の新設、高齢運転者対策の推進のふたつだ。準中型免許は、従来の普通自動車運転免許(普通免許)と、中型自動車運転免許(中型免許)の間に新設された。この準中型免許で運転できる自動車は、車両総重量が7.5トン未満で、最大積載量が4.5トン未満まで。普通自動車からいわゆる「2トントラック」などと呼ばれるクラスの車両までを運転できる。

 少子化で若年層の人口減少は避けがたく、今回の道交法官邸で若手ドライバーが受験でき育てば、ドライバー数・即戦力増加が見込まれ、慢性的な人材不足の解消と安定した物流の維持につながることが期待される。

 改正道交法が2017年に施行、準中型免許が新設され、普通免許により運転できる自動車の範囲が車両総重量5トン未満で最大積載量3トン未満から、車両総重量3.5トン未満で最大積載量2トン未満のものへと変更となっている。(編集担当:吉田恒)

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