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住宅ローン減税率、1%から0.7%に減額か 期間延長の議論も
住宅ローン減税の見直しが報じられている。主な変更項目は減額比率の圧縮と税控除期間の延長だ。
元々は、住宅ローン年末残高(上限4,000万円)の1%を所得税額から減額し、その控除期間を10年とするものだったが、2019年10月の消費税増税に合わせて、期間は13年(ただし、消費税10%適用の住宅購入に限る)に延長されている。つまり、最大480万円の減税効果が得られる。
13年間への延長は、当初2020年12月末までの入居が条件だったが、コロナ禍において2022年12月末までの入居に延長された。政府は、この減税率について、1%から0.7%への減額を検討しているという。
1%の所得税額控除は、本来住宅ローン金利のカバーが目的であった。だが、マイナス金利時代の住宅ローンは金利1%を下回る商品が珍しくない。現に年0.5%前後のローンプランも多い。すると、ローン金利以上に税金が減額されるという『逆ザヤ現象』が生じてしまった。
例えば、4000万円の住宅ローンを年利0.5%で組むと、初年度の利息支払金利額は約20万円(月の返済額によって上下する)だ。一方で控除される所得税額は38万円程(月20万円の返済でも)となり、差額18万円も得をする。支払いが進むほど逆ザヤは縮小するが、控除期間中は常に金利以上の減税効果がキープできることになる。
この点について、政府は2022年以降の減税幅を1%から0.7%に縮小することを検討中と報じられている。確かに、コロナ禍によって辛酸をなめている消費者が非常に多い中、住宅ローン利用者にこのような利益が発生するのは看過できぬところかも知れない。
また金利に合わせて、さらに引き下げるべき、という声も多い。政府の意見としては、『実施には1%前後で住宅ローンを組んでいるものも多いため、そういった人にも減税メリットが及ぶように』との配慮がある。
与党からは、控除の利率を各住宅ローンに適用されている金利に合わせるべき、という意見も出てきた。これならば逆ザヤは発生せず、どの住宅ローン利用者にも恩恵が行き渡る、との見方もある。
だがFNNなどの報道によると、この意見には国土交通省が反対したという。オリンピック後もコロナ禍の景気後退中も、逆ザヤがあるからこそ住宅需要が落ちないと主張している。逆ザヤを帳消しにする案には、国交省としては賛成できないという。
さらに、控除期間を延長するというアイデアも出てきた。これも国交省の推薦プランで、控除期間を15年まで延長するものだ。現行の制度では、1%控除・10年間で最大減税額400万円。0.7%控除・10年間で280万円までとなり住宅購入者のメリットが縮小される。これを懸念して、15年間まで延長し、最大420万円の控除額になるように制度改正させたい考えだ。
確かに、住宅ニーズの拡大は経済活性化には大きな影響をもたらす。かと言って、税金を使ってまで一部の消費者に逆ザヤを用意する政策には、疑問を持つ人がいてもおかしくない。
落とし所は難しいかも知れないが、今後の議論の行方に注目したい。(記事:TO・記事一覧を見る)
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