またぞろ新たな商品・分野に踏み出す構えのロート製薬の足元とこれから

2021年11月1日 16:21

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海洋深層水仕込みのクラフトビール「KUMEJIMA 612 THE BOTTOM」他2種類(画像: ロート製薬の発表資料より)

海洋深層水仕込みのクラフトビール「KUMEJIMA 612 THE BOTTOM」他2種類(画像: ロート製薬の発表資料より)[写真拡大]

 6月16日の企業・産業欄に『ロート製薬がボラギノールを買収、初の外部招聘社長:杉本氏の方向性』と題する記事を投稿した。杉本雅史社長が「大衆薬部門強化」の一策として、ボラギノールの製造元である天藤製薬を買収した「何故」を記した内容だった。

【こちらも】ロート製薬がボラギノールを買収 初の外部招聘社長:杉本氏の方向性

 爾来、「ロート製薬は、また新たな製品を送り出していないか」が気になりHP等をチェックしている。

 周知の通り昨春来、新型コロナウイルス感染拡大以降「マスク(着用)」と「手洗い・消毒」が不可欠な流れとして定着した。遡って探したら、こんな商品に出会った。

<エタノール配合のハンドローション:メンソレータムハンドローション70>。昨年8月早々に売り出されていた。その謳い文句は、『手洗い/消毒で手肌が乾燥しやすくなりやすい・・・手の潤いを保ちつつ』。この種のキャッチコピーは専門家が生み出すのであろうが、妙に感心し買って使用してみた。

 またコロナウイルス禍とは全く縁はないが、今年10月初めにこんな新商品を知った。子会社:ロート・F・沖縄が、「KUMEJIMA612 THE BOTTOM」他3種類のクラフトビールの出荷販売を開始した。キャッチコピーは、『久米島海洋深層水仕込みのクラフトビール~人、地域、自然つながる、循環型社会システムへの挑戦~』。「こうなると、たかがビール、されど、ビールだな」などと思いつつ、クラフトビールに注力しているキリンビールとの接点でもないかとチェックしたがその痕跡はなし。

 ことほど左様に取扱商品の多様化?を図るロート製薬の、足元の収益動向はどんな状況か。前2021年3月期は「3.7%の減収、0.4%の営業減益、2円増配28円配」。

★国内部門: 外出自粛やマスク文化の定着で、日焼け止めやリップクリームの減収やインバウンド需要低迷。一方「メラノCC(シミ対策美容液)」「デオコ(体臭対応薬用ボディクレンズ)」「ロートV5粒(加齢に伴う目のサプリメント)」は堅調継続も、総体的売り上げ減と医療用医薬品研究開発費増で営業減益。

★海外(米欧亜): 米国動向に象徴的。コロナウイルス感染症に伴う外出自粛の影響で目薬・リップクリームが減収も、広告宣伝費削減で増益確保。

 そして今3月期も「0.4%増収(1820億円)、0.5%営業増益(231億円)、2円増配30円配:18期連続増益予定」と、ソロリと立ち上がった。第1四半期の通期計画比進捗率は、営業利益で26%とまずまず。18期連続増配、過去10年弱の修正済み株価パフォーマンス3.4倍にも惹かれる。

 と同時に8月に機能性食品で知られるカフェ・カンパニーとの資本業務提携で、新たにどんな商品・分野に歩み出すのかにも興味を覚えている次第。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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