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ウィーワークが上場、アリババ株上昇でも、ソフトバンクG株に乏しい方向感
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21日、ソフトバンク・グループ(SBG)の悩みの種だったウィーワークが、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。特別買収目的会社(SPAC)との合併を活用したもので、初日の終値は、SPACの前日の終値から13%高の11.78ドル。終値から導かれる時価総額は約90億ドル(約1兆円)になる。
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2年前の19年9月に、創業者であるアダム・ニューマン氏を巡るトラブルが発覚して、目前に迫っていた新規株式公開(IPO)を取り下げる事態に追い込まれたウィーワークに、SBGは傘下のソフトバンク・ビジョンファンド(SVF)を含めて合計91億5000万ドルを出資していた。予定通りにIPOが実現していれば、巨額の「含み益」を手中に収める筈だったSBGの目論見は暗転して、20年3月期連結決算では最終損失9615億円を計上する状況に追い込まれた。
この危機を乗り切るべくウィーワークの再建を託されたのは、SBG副社長のマルセロ・クラウレ氏だ。同氏は当時、従業員を2割削減して21年には黒字化させるという計画を語っていた。クラウレ氏が再建に辣腕を振るい始めた時期に、新型コロナウイルスの感染拡大が世界を覆い始めたのは計算外だったろう。
オフィス内の従業員が、オープンにコミュニケーションを広げるというウィーワーク最大のセールスポイントが、金縛り状態になってしまった不運は否めない。世界の潮流が在宅勤務の拡大に向かう中で、不特定多数の利用者が集まることを前提にしたシェアオフィスが、敬遠されるのは道理である。
結果として、黒字転換が期待されていた21年の4~6月期最終損益は9億2300万ドルの赤字計上に至った。その後月次の売上高は連続して増加を続けているが、21年度の黒字化は期待薄で損益状況の抜本的な改善には、まだ暫くの猶予が必要ということになる。
再建途上とも表現できるウィーワークが上場できたのは、ベンチャー・キャピタルのボウ・キャピタル・マネジメント傘下のSPACと合併するという、「奥の手」を使ったからだ。空箱にもたとえられて使い勝手がいいと、評判のSPACを使ったからこそ可能な上場である。
IPOを目前にしていた19年9月にSVF分を含めてSBGが出資していたのが、合計91億5000万ドルだったのに対して、上場初日のウィーワークの時価総額は約90億ドル。甘く見てプラマイゼロの状態にこぎ着けたような感はあるが、IPO取り下げ以降にSBGが投じた支援も含めて資金が塩漬けの状態にあることに変わりはない。
投資家の迷いはSBGの株価にも反映されている。ウィーワークの上場と同時期に、アリババの株高と同社創業のジャック・マー氏の動静が伝えられたこともあってか、東証におけるSBGの株価は19~20日にかけて600円近くの上昇を見せた。
但し、ウィーワークが利益を計上できるようになるまでの見通しは不透明であり、アリババに対する中国当局の出方も読み切れていない。カリスマだったジャック・マー氏が健在だったとしても、アリババに口を挟める状況にはない。こんなことを背景に、22日の東証でSBGの値動きは方向感もないように激しく上下し、前日比36(+0.55%)高で終えた。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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