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菅首相の退陣表明より日本の株式市場は上昇を続け、4人の自民党総裁選候補者の経済政策が出そろったところで、その上昇も一旦頭打ちとなったように見受けられる。だが勝率100%と言われている「総選挙の株高アノマリー」は、自民党総裁選より先に控えた話である。
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本来、アノマリーとは「法則や理論からみて説明できない事象」を指すが、金融においてのアノマリーは「経験的に予測できる値動きの規則性」と表現するほうがふさわしいだろう。よって、大抵のアノマリーについては、それ相応の根拠がある。
特に有名なアノマリーとしては、「セルインメイ(5月に売れ)」や「セルインファクト(事実で売れ)」などがある。前者は「ヘッジファンドや機関投資家が夏休み前に手じまいするから」、後者は「ニュースなどである出来事の観測が出てから期待値で買われ、事実となって材料出尽くしとなるから」という理由付けだ。
しかし、アノマリーには不確実なものも多く、たとえば「セルインメイ」といえども5月のどこで売ればいいのか、「セルインファクト」といえども何が観測で何が事実なのかなど、その売買タイミングから利益を目指すのは簡単ではない。
そんな様々なアノマリーとは一線を画しているのが、日本の株式市場における「総選挙の株高アノマリー」である。根拠としては、「選挙期間中に様々な経済政策が掲げられるから」という至って単純なものではあるが、「解散前営業日」から「投開票日前営業日」の株価を比べると、後者が必ず高値となっているのだ。
2000年以降の解散総選挙でいえば、2000年が約1.5%、2003年が約1%、2005年が約8%、2009年は約12%、2012年は約10%、2014年は約0.5%、2017年は約6%の上昇だ。上昇率にはバラツキがあるものの、ここまでピンポイントに売買タイミングが示されたアノマリーは珍しく、「過去50年間に行われた15回の解散総選挙における勝率は100%」なのである。
たったの2週間でこれだけ確実なリターンが見込めるのであれば、ぜひとも積極的に利用したいアノマリーではあるものの、実は過去50年間において、1度だけ例外の選挙があった。それが1976年の総選挙であり、2021年現在の状況に近しいといえる。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
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