株価も期待を示す、オンライン診療の草分け・牽引役のメドレー

2021年8月24日 06:30

印刷

 メドレーはいま株式市場全体にあって、「最も注目を集めている企業」と言って過言ではあるまい。株価動向がそれを如実に物語っている。

【こちらも】終末期医療を手掛ける「医心館」の柴原氏に、心底敬意をはらう理由

 2019年12月12日に東証M市場に上場。初値1270円で生まれ、本校作成中の時価は4000円弱。3倍強のパフォーマンスを示している。ちなみにIFIS目標平均株価は5000円。何故か。一口で言えば、「待望久しいオンライン(遠隔)診療の草分け、牽引役」という現実である。

 オンライン診療に関しては数年来、諸々の規制緩和が進んだ。だが実態は未だ歩みを始めたばかり。富士経済の調査では18年時点で医療システム市場は4600億円規模。が、オンライン診療などのいわゆるクラウド型は80億円水準と2%未満にとどまっている。そんな市場の拡充をリードしている企業に注目が集まるのは、至極当然。

 メドレーはCLINICS(クリニクス)と呼ばれるシステムを軸に、システム診療に取り組んでいる。現に導入された医療機関もあるし、共同で実証試験を行っている公的診療機関も少なくない。

 クリニクスは「予約・オンライン診療・レセプト(クラウド型電子カルテ)」システムを内包しており、オンライン診療と同時に「診療報酬計算/明細書発行/領収書発行/処方箋発行」が可能になる。

 「高齢者にとっては専用アプリを取り込んだパソコンやスマフォを使って・・・という壁もある」とする指摘も聞かれるが、(高齢化社会進捗下で)新たな医療体制の在り様として不可欠であることは論を俟たない。

 20日には「ドコモなどと共同で患者と医師を予約なしでつなぐ新サービスを開始する」と発表した。現時点では医療関連をはじめとする人材派遣で売り上げを伸ばしつつ、システム開発の深耕など先行する投資負担をカバーしている収益状況だが決して目を離せない企業である。

 (高齢者に優しい)オンライン診療とともにメドレーでは、こんな事業も展開している。

★介護施設検索サイト「介護のほんね」の運営: エリア・予算・要介護度等、介護施設入居を希望する人の状況に応じ専門の相談員との遣り取りから介護施設の種類をセレクトしていく。候補に上った施設の、無料オンライン見学も可能。実際に現場を体感したいとなれば、相談員が同伴し施設を訪れる。また入居後も専門相談員がフォローする。

★介護・福祉職員の研修「メディパスアカデミー介護」: プロの講師2000人以上の研修動画が用意され、1700施設以上の3万人を超える介護・福祉職員が受講している。研修動画上の資料やレポートをダウンロードすることも可能。

 一方でのそうした地道な活動を知ると、なおさら「高齢化時代」に不可欠なオンライン介護の必要性を痛感する。メドレーが背負っている課題は極めて大きく重い。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連記事