京王電鉄、京王線で農産物運ぶ実証実験 高速バス・トラック活用し飛騨高山から

2021年7月23日 08:17

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鉄道で農産物を運ぶ実証実験を行う(画像は京王電鉄の発表資料より)

鉄道で農産物を運ぶ実証実験を行う(画像は京王電鉄の発表資料より)[写真拡大]

 京王電鉄(東京都多摩市)が7月27日から、高速バスと鉄道で農産物を運ぶ実証実験を行う。既存の公共交通機関を活用することで、配送による環境負荷の低減につなげる。検証を踏まえて農産物以外の商品配送も検討する。

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 実証実験は2022年3月31日まで実施する。お盆や年末年始を除く、火曜日から土曜日まで毎日行う。運ぶのは、飛騨高山で生産されたトマトやほうれん草、桃、トウモロコシなどの農産物で、直売所施設「特選館あじか」の商品。1日あたり段ボール6箱程度の配送を計画している。

 高速バスやトラックで京王運輸の営業所まで運び、八幡山駅から京王線で新宿駅へ1日1回届ける。販売場所は、京王モール内に設置した「中部地方インフォメーションプラザin新宿」だ。尚、輸送時には京王ライナーの車体に模したカバーを装着した台車を使うと言う。

 商品輸送には大型トラックが使われることが多いが、鉄道を使えば都心部の道路混雑の影響を免れることができる。定時運行しているため、商品配送の速達性確保にもなる。既存のインフラを利用すれば、配送に伴うエネルギー消費や排ガスを削減できるという効果もある。

 京王電鉄はこの実験の結果をもとに、農産物以外の配送や生活利便性向上につながる新たなサービスを検討する考えた。

 同社はグループの京王バスでも、これに先行して7月3日から高速バスで「貨客混載」を行って海産物の輸送を開始している。京王バスと宮城交通が共同運行する高速バス路線を活用。新宿・渋谷行きのバスのトランクルームに、宮城県石巻市の海産物を入れて運ぶ。

 定期輸送した海産物は、京王ストアが運営する「キッチンコート」2店で販売を行っている。ランクルームの遊休スペースに商品を積載することで、高速バスの生産性向上を図るのが狙いだ。産地直送の海産物をグループの京王ストアに届けることで、他店との差別化も図る。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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