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パパ育休は「男性の”社会”進出」。育児を地域に参加・貢献するきっかけに(連載第5回)
(連載第5回)日本ではまだ数パーセントしかいない、男性の育休取得者。でも、いま確実に育休をとる男性が増えています。なぜでしょうか? 本連載は、書籍『なぜパパは10日間の育休が取れないのか?』から、パパたちが育休と向き合うことでどんなことを考え、感じ、乗り越えてきたのか、実際のSTORYとあわせてお伝えします。本連載は7回を予定しています。ご興味いただけた方は記事最後に紹介している書籍『なぜパパは10日間の育休が取れないのか?』もぜひご覧ください。
本連載は、書籍『なぜパパは10日間の育休が取れないのか?−家族も、自分も、会社も、みんなが幸せになる育休の取り方・過ごし方・戻り方−』(2021年4月発行/著者:成川 献太、パパ育休2.0プロジェクトメンバー)の一部を、許可を得て抜粋・再編集し収録しています。
育休中、地域に貢献する
育休を取って家庭に入ると、地域で暮らしていることをより意識するようになってくる人もいます。
フルタイムで働いていたころは地域の支援センターに行くことはなかった人でも、育休中はしょっちゅう顔を出すようになった、という話も聞きました。
また、地域で多くの時間を過ごすことになって初めて、地域の課題が見えてきたり、その地域の課題を解決しようと思うようになってくることもあります。
そんな「地域社会・パパ仲間との関係」に向き合ったパパのSTORYです。
【STORY】育休を、地域をよくするチャンスに変える! パパだからできる「おもしろいこと」
このSTORYを話してくれた方
・育休パパ 山手俊明さん
・職業 小学校教員
・家族構成(育休取得時) 妻(会社員)・長女(7カ月)
・育休歴 1人目が生まれて7カ月後から6カ月半の育休を取得。その期間は妻とのW育休。娘は横浜に住むようになって6年目に生まれました。それまでは休日は旅だったり、テニスだったり、よく県外にも出かけていました。
横浜はもともと生まれ育った街でなく、正直なところ横浜の街に対しては「住んでいるだけの場所」「働いている場所」「寝に帰る場所」としての感覚しかありませんでした。
それが育休中の経験を通して、「この街で、この地域で暮らしている」という感覚が生まれました。育休を取得したことによる一番大きな自分の中の変化の1つかもしれません。
「住んでいる場所」から「暮らしている場所」へ
その変化のきっかけとなった場所が、街に2つあります。
1つ目が、区の地域子育て支援拠点です。横浜市は各区に地域子育て支援拠点を置き、出産・育児のサポートをしており、私が住む港北区には「どろっぷ」と「どろっぷ サテライト」があります。私は、妻の妊娠中に両親教室というプレママ・プレパパ向けの講座で初めて伺いました。
まず何より、スタッフの方たちが本当に明るくてフレンドリーです。出産や育児に関する様々な情報を知ることができたり、人とつながれたりする、親にとって本当に安心できる場です。
赤ちゃん・子どもが自由に遊ぶことができる広くてあたたかいスペース、交流を生むイベントもあり、平日はママと子どもがほとんどですが、土日にはパパの姿もたくさん見られます。娘が生まれ、育休を取得し、このどろっぷ がまさに自分にとっての拠点であり、地域への入り口となりました。
後述するパパ団体のメンバーとも、このどろっぷでの、パパによるクリスマス劇で出会いました。こういう場所が街にあることって本当に大事だなぁと、いざ子どもをもつことになり、強く思います。
2つ目が、NPOが運営している街カフェ「大倉山ミエル」です。ここは子育て世代をはじめ様々な年代の様々な方が集まる場所であり、代表の方もここに集まる人の「やりたい」をあたたかく後押ししてくれるので、どんどんイベントが生まれてくる場所です。
ここに集まったママたちがまた活動的で、流しそうめん、キンパ作り、森のようちえん、ラグビーW杯パブリックビューイング、いろいろなイベントを一緒に楽しんでいます。
誰かが自分の子どもを見てくれていて、抱っこしてくれたり、遊んでくれたり、きっと昔の日本はこういう地域で子育てをする風景があちこちで見られたのではないかと思います。
自分も妻が参加したパン教室の間、6人の赤ちゃんと遊びました。みんなで子育てするって、本当に楽だし楽しいですね。これからは地域のこのような場所が、育児をはじめコミュニティ形成において本当に大事になってくると思います。
平日の「社会」に男性がいない?
一方で、平日の地域に娘とくりだすと、「今日はお休みですか?」とよく聞かれました。育休中と伝えると「すごいですね」「イクメンですね」というリアクション。
平日の地域社会には、お店の方などを除くと、女性と未就学児と高齢の男性がほとんどで、子育て世代の男性が本当に少ないということです。育休中はだいたい毎日、地区センターやケアプラザ、公園などに娘と出かけていましたが、イベントでもパパは1人か2人で、あとはみなさま女性でした。
社会進出というと、女性のキャリアの文脈で「女性の社会進出」と述べられることが多いと思いますが、「社会」って何だろうと考えました。
「地域社会」こそ一番身近な「社会」なんじゃないか、そう考えると、実は「男性の社会進出」こそできていないんじゃないかと思うようになりました。
地域で男性ができることももちろんあるし、何より地域社会には多様性がもっと必要だと感じています。そして、「男性の社会進出」が進み、当たり前のように女性や育児に対する理解が深まっていくことが、前述の「女性の社会進出」にもつながるのではないかと思います。
男性の育休は、その「男性の社会進出」のきっかけになるかもしれません。
パパもゆるく、おもしろいことしようぜ
そんなことを感じながら、前述のどろっぷで出会ったパパたちと、パパだからこそできること、おもしろいことを何かしたいね、という話になり、パパと子どもの遊び場・学び場をつくる「Dad.College 港北(ダッドカレッジ、通称Dカレ)」という団体をつくりました。
主に、デザイナー、コンサルタント、教員の3人で毎週Zoomで話したり、パパカフェやプログラミングワークショップを開催したり、高校生の同好会のように楽しみながらゆるく活動しています。
前述の場に加えて、「P35(パパサンゴー)」という地域の先輩パパ団体がいつも応援してくれていたり、区内の地区センターなどの方も共感してくれたりと、地域のつながりの中で活動できていることは本当にありがたいです。
娘が生まれて育休を取るまで、まさか自分が地域の活動にこんなに参加したり、パパの団体をつくって活動したりするなんて、夢にも思いませんでした。育休取得有無にかかわらず、育児は地域へ出ていくきっかけになると思います。
「男性の(地域)社会進出」が進み、多様性が楽しめる地域で楽しく子育てができていくといいですね。
地域に居場所をつくることで子育てをもっと楽しむ
山手さんのお話からは、育休を取ることによって生活のスタイルが変わり、自分が行く場所や自分が過ごす場所が大きく変わってきたのかなと思いました。
また、誰にでもできることではないですが、自ら地域に働きかけて、自ら地域に居場所をつくるという考え方にはとても驚きました。ともすれば「〇〇がない」と思ってしまうことでも、「じゃあ、こうしよう」と自分から行動しようとする気持ちが生まれてくるのも、育休のもつ可能性なのかなと思いました。
著者:成川 献太
広島県で小学校教員を務める3児の父。第3子誕生により、2020年8月より1年間の育休を取得。その際「家族との向き合い方」で悩んでいたところ、他のパパたちも同じように悩んでいることを知る。家族と向き合うパパママを増やしたいと、出版プロジェクトに向けて行動を開始。育休&共働きコミュニティ「ikumado」メンバー。
ikumado – 育休&共働きコミュニティ
子供が産まれても、社外のいろんなひとと自分軸の話をしたい男女が集まる参加無料のコミュニティです。イベントは主に「ZOOM」を使っていますので、自宅にいながら気軽に参加できます。内容は、キャリア、ビジネス、ワークライフバランスなど。共感いただける方、ぜひFacebookでつながりましょう!
via www.amazon.co.jp
なぜパパは10日間の育休が取れないのか?家族も、自分も、会社も、みんなが幸せになる育休の取り方・過ごし方・戻り方
¥1,430
■人生が変わる、幸せな育休とは■
・パパ育休って、ぶっちゃけどうなの?
・パパは育休中になにをしていたの?
・育休パパに対する周りの反応は?
・パパの育休で家族、職場への影響は?
15人のパパ・ママが、育休の取得前から育休中・復帰後に感じたこと、何に悩みどのように解決していったのか。家族構成も職業や立場もさまざまなパパ・ママのストーリーが、この1冊に詰まっています。
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