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最近10年間で降雨活動が顕著に活発化 降雨レーダで確認 都立大の研究
降水頻度を時系列で示したグラフ。黒丸の実線は、0.5 mm/hr以上の降水頻度。青丸の破線は、10.0 mm/hr以上の降水頻度。オレンジの破線は、10.0 mm/hr以上の降水頻度の11年平均値(1998年から2008年および2009年から2019年)を示す。2010年代に平均値が高くなっていることがわかる。(画像: 東京都立大学の発表資料より)[写真拡大]
2020年7月に発生した「令和2年7月豪雨(熊本豪雨)」をはじめとして、近年では日本や中国において梅雨の季節になると気象災害が頻発している。だが海上での降水データを陸上と同じように定量的に観測することは困難であることから、雨の降り方の長期的な変化を把握することは容易ではない。東京都立大学の研究グループは8日、過去23年間分の人工衛星による降雨レーダのデータを用いて解析を行った結果、最近10年間は、梅雨前線の降雨活動が顕著に活発になっていることが判明したと発表した。
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日本や中国などの東アジアでは、南アジアや東南アジアからの西風と太平洋からの東風が合流して前線となり、降雨がもたらされる。この前線のうち、中国付近のものはメイユ前線、日本付近のものは梅雨前線と呼ばれている。メイユ前線や梅雨前線は豊かな水源であると同時に多数の気象災害も引き起こしており、熊本豪雨もその気象災害の1つである。
今回、人工衛星の降雨レーダのデータを解析したところ、最近11年間はその前の11年間と比べて梅雨前線がもたらす降雨が多くなっていることが判明。その要因として、太平洋からの東風による水蒸気輸送が強まっていることや、梅雨前線の西側の上昇流が強化されていることも確認されている。
また、降雨レーダが存在しない1990年代についても、雲の活動を表すデータから梅雨活動の推測を行った。その結果、2000年代は1990年代と比較すると梅雨活動が不活発であったという傾向も見られている。ただし2010年代と1990年代との比較では2010年代の方が梅雨活動は活発であったとしている。
今後の研究では、梅雨前線が活発になるメカニズムについてのより詳細な調査が期待される。特に大気流の長期的な変動に関しては、その要因についても理解することが重要となる。また10年単位で見ると、降雨活動が顕著に活発化しているため、それに応じた防災対策が必要であることも示唆されている。
今回の研究成果は7日付の「Scientific Reports」誌オンライン版に掲載されている。
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