MS&ADホールディングス、女性の役員比率に新目標 管理職比率も引き上げ

2021年6月2日 08:06

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 MS&ADインシュアランスグループホールディングス(東京都中央区)は、役員や管理職における新たな女性比率目標を発表した。取締役、監査役、執行役員における女性比率を2030年度末までに30%以上にし、女性管理職の比率も30%まで引き上げる。ダイバーシティ&インクルージョンを進める方針だ。

 取締役と監査役から成る取締役会メンバーの女性比率は、既に2025年度末までに30%以上という目標を掲げてきた。これに執行役員を加えた女性役員比率が、現在24%のところ、2030年度末までに30%以上を目指す。多様化する社会に対応するため、意思決定層の多様化を進める。

 ラインマネジメントを担うライン長の比率も、現在8.3%のところを2030年度末までに15%まで引き上げる目標設定を行った。課長以上の役職者に関しては目標としていた15%を超えたことから、2030年度末までに30%の目標を新たに策定した。
 
 実現の後押しをするのが2019年に発足させた「グループ女性部長の会」だ。グループ横断で女性部長のネットワークを構築し、共同研修やグループCEOとの対話ミーティングを行っている。関連事業会社の非常勤取締役への就任も行い、女性役員の育成に役立てている。
 
 グループ各社が女性活躍推進のための取り組みを進める。「女性ライン長候補スクール」では、選出されたメンバーを対象にスキル習得と参加者同士のネットワーク構築の機会を提供している。最大3年間に渡るフォローアップを継続し、女性ライン長候補を育成する。

 文化・風土の醸成も行う。2019年4月には役員を対象に、年齢や性別による思い込み「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」への理解を深める研修を実施。さらに管理職が自らのバイアスに気づいてコントロールする手法を学ぶマネジメント研修や、イーラーニングも実施する。

 同グループは2年連続で女性活躍に優れた企業として「なでしこ銘柄」に選ばれるなどダイバーシティ&インクルージョンで先進しているが、それをさらに加速させる方針だ。

 グループの原典之CEOは「不透明な時代に想定外の事象に対処していくにはこれまでの経験値は通用しない。私たち自身が多様性を受け入れる柔軟性を持たなければならない」とD&Iレポートで述べている。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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