sell in mayが覚醒する アメリカの金融政策が与える影響と地合いのベール 前編

2021年4月5日 07:46

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 金融バブルは、各国の中央銀行による金融緩和が起因となることもあるが、たとえ金融緩和の飽和がバブル状態となっていると認識していたとしても、金融緩和の終了アナウンスなどの出口戦略については非常にセンシティブに扱われてきたといえる。中央銀行の関係者が、出口戦略について核心を突かないような発言に終始することが多いのは、その失敗がきっかけとなって金融不安が発生し、パンデミックした場合にバブル崩壊に連鎖することを、十分に理解しているからだ。

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 もちろん、名も知られていないような小さな国であれば、その国の金融政策が他国に影響を及ぼす可能性は低いといえるだろう。しかし、経済力の強い大国であれば話は別であり、中でもアメリカ金融政策の影響力は群を抜いているのである。

 例えば、GDPの総額はアメリカが首位、中国が猛然と迫っているものの、第3位の日本のGDPの総額はアメリカの4分の1でしかない。また、世界の株式市場全体の時価総額についても、アメリカの企業が約50%を占め、第2位の日本であっても約10%、その他の国は5%以下なのである。

 これらの事実があるからこそ、アメリカ・ドルは国際通貨の中でも中心的な地位を占める基軸通貨とされており、今日の国際取引の多くがアメリカ・ドルで行われているのだ。つまり、アメリカ・ドルの価値を変動させる可能性のある金融政策の変更については、資産の流動性だけではなく、世界中の取引にも及ぶ可能性があるために、当然センシティブなのだ。

 そして、大規模な金融緩和政策の出口戦略は、過去の経験から「極めてソフトランディングに行うべきであること」と「市場との対話が重要であること」を十分に理解しているはずである。例えば、ハードランディングな金融引き締めの結果として起こったのが日本における1990年代のバブル崩壊であり、市場との対話が不十分だったために起きたのが2013年の「バーナンキ・ショック」である。

 「バーナンキ・ショック」は、アメリカでリーマンショック以降に行われてきたQE(Quantitative Easing、量的緩和政策)の終了アナウンスが、当時のバーナンキFRB議長の発言において唐突に示唆されたことから発生した、瞬発的な株価暴落だ。バーナンキFRB議長の緩和終了の発言を受けて、金融引き締めで起こる通貨高(アメリカ・ドル高)が、新興国からの資金引上げにつながるのではとの懸念となり、世界全体の株価下落へと波及したのである。

 結果的には、金融不安はそれ以上パンデミックすることはなく、バブル崩壊には至らなかったものの、当時のバーナンキFRB議長を含むFRBのメンバーは冷や汗をかいたに違いない。この時の失敗は、後任のイエレン元FRB議長(現アメリカ財務長官)、さらにパウエル現FRB議長へと受け継がれており、QEの終了から金融引き締め(利上げ)まで、大きな問題を生じさせずにやり遂げることができた。

 では、コロナ禍に対して行われている、現在の大規模な金融緩和政策の出口戦略についてはどうだろうか。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

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