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ソニー、新会社「SynecO」設立 環境技術事業を推進へ
SynecOのロゴ(画像: ソニーグループの発表資料より)[写真拡大]
ソニーグループは1日、協生農法などの環境技術に特化した事業を推進する新会社、SynecO(シネコ)を設立すると発表。ソニーコンピュータサイエンス研究所(SCSL)でこれまで取り組んできた協生農法を主軸に、砂漠化進行地域などへの導入コンサルティングや、都市開発時の環境デザイン・マネジメントなどの事業に取り組む。
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協生農法は、10年以上にわたりSCSLで研究してきた新しい農法だ。多種多様な植物を混生・密生させ、植物を始めとする地球の生態系が元々持っている自己組織化能力を活用しながら、生態系を構築・制御する栽培法。耕さず、肥料や農薬も使わない、種と苗以外一切持ち込まないといった制約条件の下、生産性と環境破壊のトレードオフを乗り越えることを目指している。
協生農法のベースには農業の情報産業化がある。国内では約1,000種類の植物と昆虫のデータベースを持ち、特性などを把握・活用、衛星を活用したリアルタイムでの光合成量の確認や、土壌中の微生物の定量化など、先端技術を活用し栽培を行っている。
新会社の社長には、SCSLでリサーチャーとして協生農法研究をリードし、現場経験と実験実績を持つ舩橋真俊氏が就く。同氏が2015年から取り組んだアフリカ・ブルキナファソでの実証実験では、砂漠化し荒廃した土地に150種の作物を用いた協生農法を導入し、約1年間で密林化に成功。収穫作物は品質の高さが認められ、売上は平均国民所得の約20倍に達したという。
■協生農法を推進する背景
背景には、現在の農業が地球環境の破壊を助長しているという研究結果がある。特に砂漠化の主な原因は農業で、このままだと数百年先には生物の約7割が絶滅に至るという。舩橋氏は協生農法について、環境負荷を生んでいる現在の農業を転換させる手段と位置付けている。
食用や資材として使える有用植物は地球上に約3万種以上あるが、現在の農業では特定の作物を栽培している。植物はもちろん、微生物や野生生物などの多様な生態系を壊し、地球の循環を破綻させ、気候変動を引き起こしているという。肥料や農薬散布もそれを後押しする。
協生農法では、生態系が持つ特性を活かし生態系本来の強さを引き出す。食料生産だけでなく、地球環境や健康への影響など包括的に考えて進めているという。
SynecOの事業開始は、6月1日を予定。ソニーグループが100%出資する。支援的な管理技術の提供を受けながら、人間活動と自然環境が相互に活かしあう新たな関係性を構築し、持続可能な環境と産業の創出に取り組んでいくという。(記事:三部朗・記事一覧を見る)
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