【どう見るこの相場】「デジタル」から「重厚長大」へパラダイムシフトなら株価優位性も同調して再生

2021年1月12日 09:43

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 新年早々、デジャブ(既視感)相場である。遠い記憶からかつて出会った相場シーン、株価フィーバーが甦るような感覚に捉えられた。住友金属鉱山<5713>(東1)の急騰は、あの菱刈鉱山相場を彷彿とさせるし、日立造船<7004>(東1)の急騰は、あのバブル相場の熱気を思い出させる。もちろん足元の株価水準そのものは、その1980年代当時とはなおギャップがあるが、株価急騰のバックグラウンドに共通項が思い当たるフシがあるからだ。

 1890年代は、2度の石油危機を経て高度経済成長が曲がり角を迎え、経済構造の改革が迫られていた。製造業中心の「重厚長大産業」が、経済のソフト化、サービス化を目指す「軽薄短小」産業に進化することに大号令が掛けられた。産業界のどこででも「ハードからソフト」、「トンからグラムへ」を合言葉に「軽薄短小」化を競うリバイバル・レースを繰り広げ、大手商社などでは、卸売、代理店などの中間流通を不要とする「中抜き」対策が、死活問題として論議されていたほどだ。

 しかしこの「軽薄短小」ブームは、掛け声ばかりが先行して意外に短命に終わった。折からのカネ余りで「ジャパン・マネー」が世界中を席捲するようになると、「ジャパン・マネー」の受け皿は、「グラム」ではなく「ロット」でなくては納まり切らず、「重厚長大」、「ハード」へのリターン・リバーサルへと逆流した。まして株式市場は、あのバブル相場である。「重厚長大」の主力企業、ハード株、「01銘柄」などに軒並み大量の投資資金が流入し、株価も大天井を形成した。

 現在も、菅偉義内閣がデジタル庁の創設を目指す「デジタル化」こそ、最優先の成長戦略に位置付けられている。かつての「軽薄短小化」が、「デジタル化」に置き換えられた趣である。そこに住友金鉱や日立造船などの「重厚長大」株の株価急騰なのである。あの1980年代から40年間も大々回りの時間が経過しても、同じ相場現象が同じように起こるかとデジャブの錯覚に捉えられるわけだ。目先の相場は、新型コロナウイルス感染症の感染爆発や緊急事態宣言の再発出に揺れ動くだろうが、その裏で深く静かにパラダイムシフトが起こっていたと後で思い当たるのはよくあることである。

 この「重厚長大」株は、現在は、景気敏感株、バリュー株などと総称され、ハイテク株、グロース株の対極に位置するセグメント株として区別され、昨年11月以来、株価パフォーマンスを競ってきた。それが新年入りとともに、バリュー株がグロース株を瞬間的ながらもアウト・パフォームしたのである。これは、米国でバイデン次期政権が、上院も制する「トリプルブルー」を実現し、大規模な財政政策や国債増発に動きインフレの懸念も出てきたとして、米国債利回りが急上昇してことが引き金にバリュー株買い・グロース株売りとなった結果である。

 この動きが、一時的な相場シーンにとどまるのか、それとも40年ぶりのパラダイムシフト(規範転換)を示唆するのかは、今後の投資スタンスの大きなチェックポイントになる。米国では、今週から巨大IT企業の決算発表が予定され、この業績評価からグロース株が巻き戻すとする観測も強い。しかし、仮にインフレ進行が現実味を帯び、パラダイムシフトの前触れとなるなら、投資セオリーは「カネよりモノ」、「バーチャルよりリアル」、「ソフトよりハード」であり、グロース株よりバリュー株が優位となるはずだ。「昔 重厚長大株」、「今 バリュー株」の「01銘柄」などに株価優位性を瀬踏み、トライするのも一法となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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