国内株式市場見通し:上値を追う展開か、景気循環株の牽引役に引き続き期待

2021年1月9日 14:21

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記事提供元:フィスコ


*14:21JST 国内株式市場見通し:上値を追う展開か、景気循環株の牽引役に引き続き期待
■日経平均は28000円の大台乗せに成功

昨年末(12月28日~30日)の日経平均株価は、「掉尾の一振」を実現する相場展開となった。28日の日経平均は、米国で成立が遅れて政府機関の一部閉鎖などが懸念されていた追加経済対策について、トランプ米大統領が法案に署名したことが伝わったことが好感されて200円近い上昇となった。翌29日には、米追加経済対策の成立を好感する買いが引き続き入り、遂に節目の27000円を突破し、終値でも700円高と大躍進した。節目を突破したことで短期筋による先物買いが入ったほか、日経平均オプションのコール(買う権利)の売り手によるリスク回避の買いなどが加わったことが上昇の弾みを付けたとの指摘が聞かれた。大納会30日の日経平均は前日までの大幅高からの利益確定売りが優勢となったが、相場の先高観も強く翌年以降の上昇を見込んだ押し目買いも入り、結局、終値は27444.17円と節目の27000円台を優にキープして2020年の取引を終えた。新年に入ってからの1月4日大発会から6日の東京市場では、まず、年末年始の間に新型コロナウイルスの1日あたりの新規感染者数が大幅に過去最多を更新するなど、緊急事態宣言の再発令を警戒した売りが先行した。そのほか、米ジョージア州の上院決選投票の結果を見極めたいとする警戒感などが上値抑制要因に。ただ、ワクチン普及や大規模なマクロ経済政策に下支えられた先高観は依然として強く、終始、節目の27000円台はキープする展開となった。エムスリー<2413>が1万台に乗せたほか、半導体受託生産最大手の台湾TSMCが「日本に新工場建設」と報じられたことで東京エレクトロン<8035>などの半導体を中心とした値がさハイテク株が指数の押し上げ役となった。米ジョージア州上院選の投開票結果が進み、米民主党が大統領および上下議会の過半数を占める「ブルーウェーブ」の実現がほぼ確実になったことが伝わった7日は、政治不透明感の後退やバイデン新大統領が掲げる大型財政政策を期待する動きから一気にリスク機運が高まり、日経平均は400円高と大発会以降の下げ幅をほとんど一気に取り戻した。翌8日にはこの流れが続き、急ピッチでの上昇相場に乗り遅れまいとする出遅れ投資家による追随買いが上昇に拍車をかけ、日経平均は遂に28000円の大台乗せに成功して週を終えた。週末大引けの日経平均は648.90円高の28139.03円だった。

■「乗り遅れまい」、「全員参加型」の買い相場が継続か

来週の日経平均は、リスクを取りやすい相場環境が続くなか上値を試す展開が予想される。今週は、大型イベントを通過したことで米政治情勢に関する不透明感が後退したほか、経済指標の改善なども市場心理を改善させた。全米供給管理協会(ISM=Institute for Supply Management)が発表した12月の景況指数は製造業および非製造業ともに市場予想を大きく上回る高い数値を記録した。特に製造業の方は、2018年8月来となる高水準となった。この背景とされる自動車産業の生産状況の逼迫は今後も続くことが予想され、ISM製造業景況指数についてはこの先も高い水準が続くことが見込まれている。イベント通過に伴う目先の不透明感の後退、好調な経済指標、これらの好条件を背景としたマーケット環境が続くと見込まれる中でも、株価指数に対する高値警戒感を指摘する声は引き続き市場において一定数存在している。しかし、こうした高値警戒感は昨年から長いこと常に意識されてはいるが、日経平均株価はもみ合いながらも、階段上のきれいなレンジ上げのチャートを形成してきている。バブル崩壊後の高値が断続的に更新され続けてきている中、仕掛け的な売りも出にくいだろう。むしろ、強気派と弱気派が拮抗して存在している分、足元の株高はかえってしっかりとしたものになる可能性が考えられる。市場でも、「イベント前に様子見姿勢を決め込んでいた待機資金が株式に流入してきている」といった声のほか、「イベント時の下げを見込んでいた売り方が損失覚悟の買い戻しを迫られている」などとの先高観を意識させる声が多く聞かれる。世界各国での大規模財政政策とそれを支える強烈な金融緩和政策、これによって生まれる歴史的な「カネ余り」が上述した「全員参加型」とも呼ばれる買い相場を実現しているようで、1月20日のバイデン氏の大統領就任式あたりまではこうした楽観ムードが続く可能性がある。

■グロースよりバリュー寄りの景気循環株が優位か

米国でのブルーウェーブシナリオの実現期待から、今週の間に米長期金利は昨年2月以来となるおよそ1年ぶりに1%を超えてきた。そうした中でも、金利上昇は長続きしないと予想する向きも多く、今週は半導体を中心としたハイテク株やエムスリーといったグロース株も大幅高を演じた。ただ、米長期金利の1%超えは一つの節目と意識されやすく、仮にこの先も1%台半ばにかけて上昇し続ける動きがみられれば、シクリカル的な側面を持つ銘柄はまだしも、そうではないグロース株はやや上値の重い展開が想定される。世界経済の回復という今年のメインシナリオが強く意識され、全面高ともなっている足元の相場状況を考慮すれば、金利上昇が警戒されにくいバリュー寄りのシクリカル株の方が相対的に優位となる可能性があろう。そのほか、来週は、国内でファーストリテイリング<9983>やセブン&アイHD<3382>をはじめとした小売企業の決算発表が相次ぎ、決算内容や経営陣からの発言を見極めたい。また、景気循環株の先行指標的な役割を担う安川電機<6506>の決算発表もあり、FA関連株の動向にも注目だ。

■12月景気ウォッチャー調査、12月工作機械受注

主な国内経済スケジュールは、12日に、12月景気ウォッチャー調査、13日に、12月マネーストック、12月工作機械受注、14日に、11月機械受注(内閣府発表)などが予定されている。一方、米国では、13日に、米12月財政収支、米12月消費者物価指数、14日に、米新規失業保険申請件数、15日に、米12月小売売上高、米12月生産者物価指数、米1月ニューヨーク連銀景気指数、米12月鉱工業生産、米1月ミシガン大学消費者信頼感指数などが予定されている。《FA》

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