ホープは、自治体の独自財源確保をフォローする稀有な企業

2021年1月7日 16:51

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 ホープ。2016年東証マザーズに上場。今年「不惑の年」を迎える時津孝康社長により、05年に起業された。売上高の約90%を「広告」収入が占めている。が、上場企業にあって同様のビジネスモデルの企業を私は知らない。

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 事業は、以下の2つ。

 ★DS(デッドスペース)サービス: ホームページや広報紙など、自治体が保有する遊休スペースを同社がリスクを背負い買い取り、有料広告枠として民間企業に販売する。自治体のカレンダーやポスター、エレベーター内ポスター、職員の給与明細書(の裏面)、ゴミ箱なども「遊休スペース」となる。「自治体の財源確保を支援するサービス」(時津氏)として、北海道から沖縄までの多くの自治体で展開されている。

 ★MC(メディアクリエーション)サービス: 自治体が発信する専門性の高い(子育て・介護等)住人向け情報冊子の、企画・編集制作・印刷・(自治体への)納品を無償で寄贈。かかる費用は、地元の企業の広告費で捻出。「自治体の歳出削減を支援している」(同)。

 ちなみに創業以来の累計で約50億円の財源確保・経費削減に寄与している、とされる。が、どうか。起業以来、このビジネスモデルは自治体に容易に受け入れられたのだろうか。時津氏は「当初は自治体に営業に行っても、名刺も受け取ってもらえないケースが少なくなかった」と振り返っている。

 第1号の顧客は、福岡県太宰府市役所の秘書広報課。広報紙に広告を・・・ということになった。入札方式。「絶対に逃してはならないという思いで、応札した」とした上で時津氏は、「努力の甲斐の結果もあったかもしれないが、自治体の行政改革ムーブメントが顕在化してきた成果」と冷静に受け止めている。

 05年当時に横浜市の中田宏市長が「行政改革!」の旗を掲げ「自治体も自らの手で財源を稼ごう」と言い始めて以来、呼応する自治体が増えてきていると肌で感じ始めていたとしたのである。

 しかし、その努力自体は生半可でなかったことも事実。本社(福岡県福岡市)を構える福岡県をはじめ、熊本・佐賀の各自治体を文字通り行脚した。とりわけ福岡については、約70あった自治体をしらみつぶしに歩いた。「いまでこそ違っているが、当時はベンチャーと組んで新しい取り組みをと言う機運がなかった」中を、である。

 その意味でも1号案件は、大きな契機になったことは言うまでもない。

 また時世を背景にした企業であることも、例えば株価も証明している。本校作成時の時価は4000円台半ば。11月11日の年初来高値7910円からの調整過程にあるが、16年6月15日の上場初値3220円に買って持ち続けていれば、1対4の株式分割も含め投資原資は5.6倍余に増えている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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