コロナ禍懸念もIPOは賑わい/後場の投資戦略

2020年12月15日 12:18

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記事提供元:フィスコ


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;26648.83;-83.61TOPIX;1781.87;-8.65


[後場の投資戦略]

 海外で相次ぐ規制措置の強化、それに国内での「Go Toトラベル」一時停止など、新型コロナ感染第3波の影響が国内外で広がっていることを受けて、本日の日経平均はやや軟調に推移している。とはいえ、日足チャート上では26700円台に位置する5日移動平均線絡みの値動きが続いており、投資スタンスが大きく後退したとまでは言えないだろう。患者の増加に伴い医療体制がひっ迫の度を強めており、更なる規制強化や自粛要請の拡大に踏み切らざるを得なくなる可能性はある。こうした足元の状況は懸念すべきものだが、一方でワクチンの普及、それに経済・金融面での支援策への期待も根強い。

 そういった意味では、米連邦準備理事会(FRB)が本日から開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加緩和姿勢を示すか、一段と注目度が高まっていると言っていいだろう。翌16日の結果発表やパウエルFRB議長の会見内容を見極めたいとのムードが強まりそうだ。また、東証株価指数(TOPIX)は0.48%の下落で前場を折り返しており、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れは実施されない公算が大きい。後場の日経平均も軟調もみ合いが続くとみておきたい。

 さて、そんな市場全体のムードをよそに、本日からIPO(新規株式公開)ラッシュがスタートし、個人投資家による売買が活発となっている。本日は東証2部にビーイングHD<9145>、マザーズにスタメン<4019>が新規上場。ビーイングHDは公開価格を5割近く上回る初値を付けたが、3割前後の上昇という予想が多かったことを踏まえると、IPOラッシュは好調な滑り出しと言っていいだろう。スタメンはまだ買い気配のまま初値を付けていない。

 先週、インターネット証券でソフトバンクGや環境関連株の売買が活発だったところを見ると、個人投資家の物色意欲は旺盛だ。本日から29日までの約半月で26社、今週だけでも12社が新規上場するという過密スケジュールだが、個人投資家の積極的な取引参加が期待できそうだ。

 もっとも、新規上場銘柄の株価指数組み入れは翌月末となるため、その賑わいは株価指数に直接影響しない。本日もマザーズ指数が朝高後に反落している。もちろんIPOラッシュが進み既存の上場銘柄に投資資金が還流することも期待されるが、新規上場銘柄が相次ぎ登場するうちはマザーズ指数の本格的な上昇が期待しづらいだろう。また、新規上場銘柄には短期の値幅取りを狙った買いも多く入っているとみられ、ここからIPOが続くだけに資金の逃げ足の早さに注意する必要がある。(小林大純)《AK》

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