イワキは調整一巡、20年11月期最終増益予想

2020年12月8日 08:04

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 イワキ<8095>(東1)は医薬品・医薬品原料・表面処理薬品を主力とする専門商社である。医薬品を中心としたヘルスケア・ファインケミカル企業集団を目指している。20年11月期は一過性費用で営業・経常減益、負ののれん発生益で最終増益予想としている。21年11月期は新型コロナ影響が和らぎ、一過性費用も一巡して収益拡大を期待したい。株価は第1回新株予約権発行を嫌気する形で戻り高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。なお1月13日に20年11月期決算発表を予定している。

■医薬品・医薬品原料・表面処理薬品を主力とする専門商社

 医薬品・医薬品原料・表面処理薬品を主力とする専門商社である。子会社の岩城製薬(医薬品)やメルテックス(表面処理薬品)のメーカー機能を強化し、医薬品を中心としたヘルスケア・ファインケミカル企業集団を目指している。

 19年11月期の売上構成比は、医薬・FC(Fine Chemical)事業(医薬品原料の製造販売、医薬品の製造販売、体外診断薬・研究用試薬・医療機器の販売)が40%、HBC(Health & Beauty Care)事業(化粧品原料・機能性食品原料の販売、一般用医薬品・関連商品の卸売、化粧品通信販売)が39%、化学品事業(表面処理薬品・電子工業薬品・化成品の製造販売、表面処理設備の製造販売)が12%、食品事業(食品原料の製造販売)が7%、その他が2%だった。動物用医薬品卸売の連結子会社2社(ホクヤク、エイ・エム・アイ)は19年9月譲渡した。

 なお20年11月期からセグメント区分を、ファインケミカル事業(医薬品原料の製造販売)、医薬事業(医薬品の製造販売、医療機器の販売)、HBC・食品事業(化粧品原料の販売、一般用医薬品および関連商品の卸売、化粧品通信販売、機能性食品原料の販売、食品原料の販売)、化学品事業(表面処理薬品の製造販売、プリント配線板等製造プラントの製造販売)とした。

■中長期ビジョンで売上高1000億円以上目指す

 中期的な事業基盤強化と収益拡大に向けて、医薬品事業での開発・受託の拡大、自社企画商品の開発強化、医薬品原料事業における市場シェア拡大、海外サプライヤーとの連携強化、岩城製薬の生産能力増強と新製品開発、メルテックスの新製品拡販、海外展開強化などを推進している。

 中期経営計画(ローリング方式、20年11月期~22年11月期)では目標数値に、22年11月期売上高750億円、営業利益32億円、ROIC8.5%を掲げている。また創業111周年(25年11月期)に向けた中長期ビジョンでは、目標として連結売上高1000億円以上、NO.1マーケットシェア、ROIC10%以上を掲げている。配当方針は、安定的かつ業績連動性を持たせた「純資産配当率(DOE)下限1.5%で連結配当性向30%目途」としている。

 20年1月医療用後発医薬品・一般用医薬品開発の前田薬品工業に出資、20年3月医薬品CMC研究・製造受託のスペラファーマを子会社化、20年6月スペラファーマが創薬ベンチャーのジェイファーマに出資、20年7月岩城製薬が鳥居薬品佐倉工場を継承した新会社の全株式を取得して岩城製薬佐倉工場(株)とした。

 これらのM&Aによって、4つの新しい戦略的ビジネスモデル(調達プラットフォーム事業、インキュベーション事業、注射剤CDMO事業、塗り薬CDM事業)が誕生したとしている。ファインケミカル事業および医薬事業の中心となるビジネスとして育成する。

 20年12月には健康食品・化粧品販売のマルマンH&Bを子会社化予定である。HBC・食品事業におけるシナジー創出を推進する。

 なお21年6月1日付(予定)を目処に持株会社体制へ移行する準備を開始している。事業会社の体制(予定)は、ファインケミカル事業(スペラファーマ、新設予定のスペラネクサス)、医薬事業(岩城製薬、岩城製薬佐倉工場)、HBC・食品事業(イワキ、アプロス)、化学品事業(メルテックス、東京化工機、海外子会社等)としている。

 持株会社体制への移行に伴って、グループ各社の組織再編、人的リソースの適正配置、働き方改革などに取り組んでいる。20年11月にはセカンドキャリア・セカンドライフ支援制度の実施を発表した。20年11月期の特別損失に特別加算金を計上するが、業績への影響は軽微としている。

■20年11月期は営業・経常減益、最終増益予想

 20年11月期の連結業績予想(10月9日に売上高を据え置き、営業利益と経常利益を下方、純利益を上方修正)は、売上高が19年11月期比3.8%増の640億円で、営業利益が15.2%減の18億円、経常利益が20.2%減の18億50百万円、純利益が17.4%増の18億円としている。配当予想は1円増配の14円(第2四半期末7円、期末7円)である。4期連続増配となる。

 売上面では、HBC・食品事業が新型コロナウイルスによるインバウンド需要消失などの影響を受けるが、新規連結2社(スペラファーマ、岩城製薬佐倉工場)が寄与する。営業利益と経常利益については、新型コロナウイルスの影響に加えて、新規連結2社取得に係る一過性費用、のれん償却費の計上などで減益予想としている。純利益については、負ののれん発生益(第3四半期に6億20百万円計上)が寄与する。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比2.5%増の475億64百万円、営業利益が13.9%減の14億64百万円、経常利益が18.6%減の14億79百万円、純利益が37.0%増の15億70百万円だった。医薬事業が牽引して増収だが、新型コロナウイルスの影響でファインケミカル事業の電子・機能材料、HBC・食品事業のインバウンド関連が低調に推移し、全体として営業・経常減益だった。純利益は負ののれん発生益を計上して大幅増益だった。

 ファインケミカル事業は医薬品原料の堅調推移やM&Aで26.3%増収だが、電子・機能材料が低調で10.4%減益だった。医薬事業は外皮用剤や新型コロナウイルス感染対策品が伸長して22.2%増収、4.0%増益だった。HBC・食品事業はインバウンド関連が落ち込んで9.0%減収となり、赤字拡大した。化学品事業は0.3%減収だが、利益改善活動の効果で営業損益が大幅改善(18倍増益)した。

 21年11月期は新型コロナウイルスの影響が和らぎ、一過性費用も一巡して収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年11月末時点で1年以上保有株主対象

 株主優待制度は毎年11月末時点で100株(1単元)以上を継続して1年以上保有する株主を対象として、グループ化粧品詰め合わせセットなどを贈呈(詳細は会社HP参照、20年8月に株主優待制度のページを新設)する。

■株価は上値試す

 なお11月30日に第三者割当(割当予定先はSMBC日興証券)による第1回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行を発表した。成長に向けた設備投資資金を調達する。

 株価は第1回新株予約権発行を嫌気する形で戻り高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。12月7日の終値は509円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS55円00銭で算出)は約9倍、前期推定配当利回り(会社予想の14円で算出)は約2.8%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS624円09銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約177億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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