日清食品、グローバルブランド力強化により成長を目指す

2020年11月29日 09:09

印刷

 日清食品ホールディングスは11月20日、湖池屋の株式10.57%を追加取得して連結子会社化すると発表した。

【こちらも】三菱倉庫、顧客起点の重点分野サポート体制確立と海外事業拡大で成長に挑む

 日清食品グループは、即席めん事業のみならず菓子、低温食品、飲料の事業分野で商品づくりと事業領域拡大に努めてきた。2012年から湖池屋を持分法適用会社として34.53%の株式を保有し、商品開発・マーケティング、営業・物流での協働、海外でも合弁事業を立ち上げている。今回の連結子会社化により、協働の取り組みを強化し、お互いの事業価値向上を目指す。

 日清食品は安藤百福によって創業され、1958年に世界初となるインスタントラーメンとして「チキンラーメン」を発売。世界の食文化創造に新たな第1歩を踏み出し、2008年には持株会社制へ移行した。

 国内7事業会社、海外4地域をプラットフォームとして、2020年3月期の売上収益4,689億円。事業別の構成比は、国内で即席めん事業が50.7%、チルド製品、冷凍製品の低温事業が12.2%、菓子・飲料事業が8.9%、その他事業が0.9%と国内が72.7%を占めている。

 一方、アメリカ、メキシコ、ブラジルなど米州地域が14.1%、中国地域が9.2%、アジア地域が2.4%、ヨーロッパ、中東など欧州地域が1.6%と海外が27.3%を占めている日清食品の動きを見ていこう。

■前期(2020年3月期)実績

 前期売上収益は4,689億円(前年比4.0%増)、営業利益は前年よりも123億円増加の413億円(同42.4%増)であった。

 営業利益増加の要因としては、海外で113億円、全社調整で29億円の増益の反面、国内で19億円の減益が発生した。海外は値上げ効果、プレミアム商品へのシフト、販売増により米州地域が93億円、内陸部の堅調で中国地域が10億円、アジア地域6億円、欧州地域6億円の増益。全社調整は前期無形資産の減損があった反動で29億円の増益。

 国内は価格改定効果で即席めん事業が41億円の増益の反面、前期不動産売却益発生の反動でその他事業が56億円、減価償却費の増加で菓子・飲料事業が3億円、物流費の増加で低温事業が1億円の減益であった。

■中期経営計画(2017年3月期~2021年3月期)による推進戦略

 「食」を通じて世界の人々を幸福にする「EARTH FOOD CREATOR」の体現を見据え、今第2四半期(4-9月)実績は売上収益2,411億円(前年同期比8.9%増)、営業利益318億円(同61.5%増)の中、今期は売上収益4,860億円(同3.7%増)、営業利益435億円(同5.4%増)を目指して次の戦略を推進する。

●1.カップヌードルのグローバルブランディング化促進

 ・海外での収益性向上のために高付加価値商品カップヌードルの海外展開を加速し、2016年を基準年とし(以下同じ)販売食数を今期は1.3倍見込む。

●2.BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)を重点拡大

 ・即席めんの高シェアを活かしたカップヌードルの販売エリア拡大により、BRICsの海外事業利益(営業利益+持分法利益)構成比を基準年の53%から今期63%へ拡大を見込む。

●3.国内収益基盤の盤石化

 ・日清食品、明星食品でコアブランドの価値向上を図り、日清食品関西工場の本格稼働による生産効率化などにより、両社で営業利益が基準年の253億円から今期302億円を見込む。

●4.第2の収益の柱構築

 ・菓子、シリアル事業は、湖池屋の連結子会社化、海外展開の強化などを推進。
 ・低温事業、飲料事業は、個食ニーズの高まりなどマーケット成長の取り込み強化。

 No.1ブランドの集合体である「ブランディングコーポレーション」を目指して、着実な成長を続ける日清食品グループの動きに注目したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事