建設技術研究所は上値試す、20年12月期増収増益予想で上振れ余地

2020年11月24日 08:59

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 建設技術研究所<9621>(東1)は総合建設コンサルタントの大手である。成長戦略としてグループ一体となった事業拡大を推進している。20年12月期増収増益予想としている。第3四半期累計が増収・2桁増益となり、進捗率が順調だったことを勘案すれば、通期予想に上振れ余地がありそうだ。さらに防災・減災対策など国土強靭化計画の推進も背景として、21年12月期も収益拡大を期待したい。株価は好業績を評価する形で水準を切り上げて戻り高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■総合建設コンサルタント大手

 総合建設コンサルタントの大手である。河川・ダム・海岸・海洋、道路、橋梁、トンネル、都市・地方計画などの分野に強みを持っている。海外では英Waterman Group Plc(ロンドン証券取引所上場)を連結子会社化している。

 19年12月期のセグメント別構成比は、売上高が国内建設コンサルティング事業73%、海外建設コンサルティング事業27%、営業利益(連結調整前)が国内建設コンサルティング事業90%、海外建設コンサルティング事業10%だった。収益面では公共事業への依存度が高い。

■グループ一体となった事業拡大を推進

 CTIグループ中長期ビジョン「CLAVIS2025」では、目標数値(19年改訂)として25年の売上高850億円(国内60億円、海外250億円)、営業利益60億円を掲げている。

 CTIグループの安定経営と事業拡大を目指し、成長戦略としてグループ一体となった事業拡大を推進している。また重点事業分野は、防災・減災、既存ストックの運用・維持管理・更新、PM・CM施工管理などの発注者支援、包括維持管理・コンセッションなどのPPP事業、都市総合開発・再開発としている。

 18年2月にはAIベンチャーの知能技術と資本業務提携した。18年10月にはエスプール<2471>と契約して、障がい者雇用のCTIフレッシュグリーン農場を開園した。20年8月には連結子会社の建設技研インターナショナルの株式を追加取得して完全子会社化した。

 20年9月には奈良県王子市と「防災力向上に向けた研究開発に係る連携協定」を締結した。また11月19日には、プロジェクトの一員として担当した百間川分琉部改装事業が土木学会デザイン賞2020で奨励賞を受賞したと発表している。

■20年12月期3Q累計2桁増益、通期増収増益予想で上振れ余地

 20年12月期連結業績予想は、売上高が19年12月期比3.8%増の650億円、営業利益が3.1%増の44億円、経常利益が2.3%増の45億円、純利益が3.3%増の29億円としている。受注高の計画は9.5%減の640億円である。配当予想は19年12月期と同額の35円(期末一括)としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比2.6%増の474億23百万円、営業利益が11.6%増の38億15百万円、経常利益が11.8%増の39億01百万円、純利益が19.0%増の25億73百万円だった。新型コロナウイルスの影響は、海外で新規案件発注遅れや、一部プロジェクトの進行遅延・工期延長があったが、全体として影響は軽微だった。なお受注高は4.9%減の560億49百万円だった。

 第3四半期累計の進捗率は売上高が73.0%、営業利益が86.7%、経常利益が86.7%、純利益が88.7%と順調だった。グループ全体への新型コロナウイルスの影響は軽微と見込んでいる。第2四半期累計の進捗率が順調だったことを勘案すれば、通期予想に上振れ余地がありそうだ。さらに防災・減災対策など国土強靭化計画の推進も背景として、21年12月期も収益拡大を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は好業績を評価する形で水準を切り上げて戻り高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。11月20日の終値は2090円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS205円09銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の35円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2169円53銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約296億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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