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研究の概要(写真:千葉大学の発表資料より)[写真拡大]
金色やブロンズなど光沢のある金属調の塗料。千葉大学は23日、金属を使わない地球にやさしい金属調の塗料の開発に成功したと発表した。
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■従来の金属調塗料がもつ欠点
光沢がある金属調の塗料は、家の内装や自動車、芸術作品、さらにはメダルなど、多くの製品で美しさを高めるために活用されている。また光沢感はコピー機などで複写できないため、偽造防止のためにも金属調の塗料は使用されている。
塗料のうち色彩を生み出すのが「顔料」だ。塗料を建物などの被塗物に塗装すると、溶剤が揮発し顔料などを含む塗膜が形成される。
光沢がある金属調の塗料の多くは、アルミニウムや銅、亜鉛等の金属の微粉末を顔料として含んでいた。こうした塗料の入った容器の底に金属の微粉末が沈殿し、金属腐食が生じることが欠点の1つとして挙げられる。また、インクジェットプリンターに金属調の塗料が使用されると、インクのノズルを詰まらせる問題があった。このため、金属を使わないで光沢がある金属調の塗料の開発が望まれてきた。
■有機電子材料にも応用可能
千葉大学の研究グループはすでに、チオフェン重合体により金属を使わない金色の金属調塗料を開発している。だが、美しく耐久性のある塗膜を形成するためには、地球環境にやさしくない有機溶剤を要する金属調塗料がほとんどだったという。
研究グループは今回、水性溶剤を使った金色とブロンズの金属調塗料を作製し、その耐水性を検証。その結果、産業用にも耐えうる耐水性の金属調塗料であることが確認された。これにより、金属腐食やインクジェットプリンターのノズルの詰まりといった、従来の金属調塗料がもっていた欠点が克服された。
研究グループによると、インクジェットプリンターはもちろん有機電子材料にも応用可能だとしている。
研究の詳細は、米国化学会雑誌ACS Omegaに18日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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