昆虫から学ぶ軽くて頑強な構造 モビリティへの応用に期待 東京農工大らの研究

2020年10月26日 12:01

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 軽量で頑強性をもつ材料開発は省エネに役立つ。東京農工大学は22日、コブゴミムシダマシという甲虫のもつボディ(外骨格)の頑強性のメカニズムを明らかにしたと発表した。

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■パズルのような構造が頑強性の源

 米カリフォルニア大学アーバイン校、東京農工大学、ローレンスバークレー国立研究所、テキサス大学サンアントニオ校の研究者らから構成される国際共同グループが着目したのは、北米西海岸のオークの木に生息するコブゴミムシダマシだ。この昆虫は捕食者から逃れるために飛行する能力はないが、外からの圧力に耐えうる頑強なボディをもつ。その頑強さは車にひかれても生き残れるほどだという。

 研究グループはコブゴミムシダマシの頑強なボディの原因を調べるために、構造や組成、機械特性などを詳細に解析した。その結果、最大で149ニュートン(体重の約3万9,000倍)の荷重に耐えうることが判明。

 研究グループがこの甲虫のボディを走査型電子顕微鏡やCTスキャンで調べたところ、外骨格の接合部がパズルのように凹凸構造になっていることが明らかになった。この凹凸構造を2対もつことが、コブゴミムシダマシのボディの頑強性に関する秘密となっている。またほかの甲虫よりもタンパク質の割合が10%多いことも、ボディの頑強性に貢献しているという。

 研究グループはすでに、カーボンシートを用いて模型を作製し、凹凸構造の有効性を検証している。現在の航空材料の接合と比較しても、強固に接合可能だという。

■生物から材料設計を学ぶバイオミメティクス

 生物から材料の設計や構造を学ぶことは今に始まったことではない。古くは、ルネサンスのレオナルド・ダ・ヴィンチが生物組織を工学的視点から機械へと模倣しようとしている。飛行機や潜水艦などは、こうした「バイオミメティクス(生物模倣)」が結実した機械だと考えられる。

 こうしたバイオミメティクスが近年注目されている背景のひとつとして、軽量かつ頑強な材料開発が求められている点が挙げられる。自動車や航空機等のモビリティの多くは、動力源として化石燃料エネルギーを必要とする。こうした化石燃料エネルギーは二酸化炭素排出量の増大へとつながる。太陽光などの再生可能エネルギーへの転換とともに、エネルギーの消費を抑えるモビリティ材料の軽量化が求められている。

 研究の詳細は、英科学誌Natureに21日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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