ソフトバンク1銘柄で119円押上げ/後場の投資戦略

2020年9月14日 12:23

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記事提供元:フィスコ


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;23580.18;+173.69TOPIX;1652.20;+15.56

[後場の投資戦略]

 市場ではバリュー株(割安株)かグロース株(成長株)かの議論が続いている。先行き経済への楽観論から景気敏感色の強いバリュー株が有利とする見解と、景気低迷でも利益成長が見込めるグロース株が有利とする見方が対立している。このことに関し、株式市場を少し離れて考えてみる。

 この夏、金(ゴールド)価格が大きく上昇した。商品先物市場で3月には一時1グラム当たり5000円を割り込んだ金先物(期先)だが、上昇に転じた後は史上最高値を更新し、8月初旬には7000円を上回る場面があった。その後は概ね6000円台後半でもみ合いとなっている。

 商品先物市場では白金(プラチナ)も取引されている。白金も金同様、3月に2000円を割り込み安値を付けた後、8月初旬に3300円台まで上昇した。しかし1月に付けた3600円台には届かず、その後は金同様、やや伸び悩んだ水準で揉み合いとなっている。

 金と白金は同じ貴金属だが、その価格決定要因は大いに異なる。それぞれの価格決定要因は無数にあるが、ごくごく簡単に言うと、金は「安全資産」とも呼ばれるように、先行き経済に警戒感が高まると資金が集まり価格が上昇する性質がある。一方、白金は現物が主に自動車排気ガス用触媒など工業用に使われるため、先行き経済に楽観的な見方が広がる場面で価格が上昇する性格がある。

 金価格と白金価格を比較すると、ここまでは史上最高値を更新した金に分があるようだ。貴金属市場は先行き経済をやや悲観的にみてきたということかもしれない。これを株式市場に当てはめると、グロース株有利ということになる。しかし、白金も3月以降の上昇率は金に引けを取らない。景気回復期待も強いことがうかがえる。このことはバリュー株上昇に重なる。直近は金、白金とも高値からやや伸び悩んだ水準で揉み合う展開となっており、次の波動を探っているように見える。株式市場ではバリュー株かグロース株かの議論が続いているが、貴金属先物市場も景気先行きに判断が付きかねているようだ。

 もちろん、前述したように、金や白金の価格決定要因は多岐に及び、決めつけは禁物だが、貴金属先物市場での次の主役が金なのか白金なのか。株式市場や銘柄選択にも大いに関わることになるかもしれず、少し目配りする必要があるかもしれない。

 さて、後場の東京株式市場で日経平均は底堅く推移しそうだ。自民党は今日午後行われる両院議員総会で新総裁を選出する。新政権の政策への期待感などが株価下支え要因となり、また、米アップルが15日に開催予定のオンラインイベントを先取りする動きが強まる可能性もある。さらに、ダウ平均先物や香港ハンセン指数、上海総合指数などが底堅く推移していることも東京市場の安心感となりそうだ。《AK》

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