マーケットエンタープライズは上場来高値に接近、21年6月期も大幅増収増益(レンジ)予想

2020年8月24日 08:53

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 マーケットエンタープライズ<3135>(東マ)は持続可能な社会を実現する最適化商社を目指し、ネット型リユース事業、メディア事業、モバイル通信事業を展開している。20年6月期は計画超の大幅増収増益だった。21年6月期も積極的な事業展開で大幅増収増益(レンジ)予想としている。収益拡大基調だろう。株価は好業績を評価して19年11月の上場来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■持続可能な社会を目指す最適化商社

 持続可能な社会を実現する最適化商社を目指し、ITとリアルを融合させたリユース(再利用)品取り扱いを中心として、事業領域拡大戦略を推進している。セグメント区分は20年6月期から、インターネットに特化してリユース品を買取・販売するネット型リユース事業、消費者に対して有益な情報をインターネットメディアで提供するメディア事業、低価格通信サービスのモバイル通信事業とした。

 20年6月期のセグメント別(連結調整前)の売上構成比はネット型リユース事業59%、メディア事業6%、モバイル通信事業34%、営業利益構成比はネット型リユース事業39%、メディア事業34%、モバイル通信事業27%だった。

 中期経営目標として売上高100億円、営業利益10億円を掲げている。20年5月には、グループ全事業に関するITシステムのオフショア開発拠点として、ベトナムに子会社を設立した。

■ネット型リユース事業は30カテゴリーに対応

 ネット型リユース事業は販売店舗を保有せずに、インターネットに特化して買取・販売サービスを展開している。買取総合窓口サイト「高く売れるドットコム」をフラッグシップサイトとして、商材別に分類された30カテゴリーに及ぶ幅広い対応で自社WEB買取サイトを運営し、コンタクトセンターにおける事前査定、リユースセンター(20年6月期末時点で全国主要都市10カ所)における買取・在庫一括管理・商品化、複数の主要Eマーケットプレイス(ヤフオク、楽天市場、Amazon、Ebayなど)に出店した自社運営サイトでの販売という、一気通貫のオペレーションシステムを特徴としている。

 19年2月には全国のリサイクルショップが加盟するリユースプラットフォーム「おいくら」事業を譲り受けた。そして「おいくら」に加盟しているリサイクルショップに送客するため、20年7月「高く売れるドットコム」と「おいくら」の本格システム連携・送客を開始した。加盟店にとっては集客・買取機会の増加につながる。なお「おいくら」の有料加盟店舗数は20年6月末時点で998店舗となっている。

 またM&Aを積極活用して、中古農機具、中古建機、中古医療機器など法人向け大型商材にも取扱商品カテゴリーを拡大している。20年4月設立した子会社MEトレーディングは、20年5月中古農機具事業を譲り受けて、中古農機具の買取代行、国内および海外販売・輸出代行を展開している。20年7月にはMEトレーディングが「豪雨災害で故障した農機を修理し、海外で蘇らせるプロジェクト」を、8月から本格始動すると発表した。

■事業領域拡大してメディア事業とモバイル通信事業も展開

 メディア事業は賢い消費を求める消費者に対して、その消費行動に資する有益な情報をインターネットメディアで提供するサービスを展開している。広告収入が収益柱となる。

 M&Aを積極活用して20年6月期末時点で、モバイル通信に関するメディア「iPhone格安SIM通信」「SIMチェンジ」、モノの売却や処分に関するメディア「高く売れるドットコムMAGAZINE」「おいくらマガジン」、モノの修理に関するメディア「最安修理ドットコム」、中古農機具の買取・販売プラットフォーム「中古農機市場UMM」など8メディアを運営している。

 なお「中古農機市場UMM」は、20年4月設立した子会社UMNが、20年5月国内最大級のインターネット中古農機具売買事業「JUM全国中古農機市場」を譲り受け、20年6月に名称を「中古農機市場UMM」に変更した。

 モバイル通信事業は、子会社のMEモバイルがMVNO事業者として、通信費の削減に資する低価格かつシンプルで分かりやすい通信サービスを展開している。主力は「カシモ」ブランドのモバイルデータ通信サービスである。

■21年6月期大幅増収増益(レンジ)予想

 20年6月期の連結業績は、売上高が19年6月期比28.7%増の109億04百万円、営業利益が45.0%増の6億55百万円、経常利益が45.9%増の6億64百万円、純利益が43.1%増の2億91百万円だった。

 ネット型リユース事業が新型コロナウイルスの緊急事態宣言の影響で、第4四半期に買い取りが一時的に減少して計画をやや下回り、コスト面では一時的な先行費用が発生したが、メディア事業とモバイル通信事業では新型コロナウイルスによるテレワーク需要や巣ごもり需要の高まりがプラス要因となって大幅伸長した。全体としてはM&Aや新規事業の収益化も寄与して計画超の大幅増収増益となり、過去最高を更新して着地した。

 21年6月期の連結業績予想(レンジ予想)は、売上高が135億円~145億円(20年6月期比23.8%増~33.0%増)、営業利益が7億30百万円~9億円(同11.3%増~37.2%増)、経常利益が7億33百万円~9億03百万円(同10.4%増~36.0%増)、そして純利益が3億60百万円~4億50百万円(同23.4%増~54.3%増)としている。

 新型コロナウイルスの影響の長期化など不透明感があるためレンジ予想としたが、ネット型リユース事業(特に「おいくら」および農機具)が牽引し、積極的な事業展開による固定費増加を吸収して大幅増収増益予想としている。

 ネット型リユース事業では「高く売れるドットコム」と「おいくら」の本格システム連携開始により、送客精度向上と企業アライアンス先開拓による送客数の増加を推進する。農機具は、事業買収のシナジー発現(子会社MEトレーディングと子会社UMNの「中古農機市場UMM」)により、農機具買取・海外販売の増加を図る。

 メディア事業では、コンテンツ拡充などのドメイン価値向上施策により、送客数および送客単価の向上を推進する。モバイル通信事業では、積極的なWebマーケティング活動やサービスラインナップ拡充によって、モバイルデータ通信サービスの新規契約回線数拡大を推進する。

 21年6月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上場来高値に接近

 株価は好業績を評価して19年11月の上場来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。8月21日の終値は3070円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS上限値86円10銭で算出)は約36倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS275円54銭で算出)は約11倍、時価総額は約160億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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