NYの視点:FOMC議事録、9月会合での追加緩和を示唆せず、ジャクソンホールに焦点移行

2020年8月20日 07:35

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記事提供元:フィスコ


*07:35JST NYの視点:FOMC議事録、9月会合での追加緩和を示唆せず、ジャクソンホールに焦点移行
米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月28-29日開催分)を公表した。FRBは7月に全米のウイルス再燃したことを背景に、下半期の経済状況の雲行きが怪しくなったことを認識していたため、市場では議事録で、9月会合でフォワードガイダンスの強化などで追加緩和に踏み切ることが示唆されるとお思惑が広がりドル売り圧力となってきた。

議事録では消費が最悪となった4月から大幅に回復したと強調すると同時に、最近の指標が消費の鈍化を示唆していると指摘。また、ビジネスセクターでの改善が限定的で、企業主対象の調査では、引き続き不透明性やリスクが異例に高いとの指摘があったと記されている。

経済の軌道はウイルスの展開次第で全手段を活用することを公約し、当面の間、大規模な緩和が必要となる可能性を確認した。数人のメンバーからは追加緩和が必要かもしれないと指摘があったものの、市場で憶測のあったフォワードガイダンスやインフレ目標の強化、イールドカーブコントロールなどといった将来の政策の基盤に関する言及はなかった。

議事録では中銀が政策金利をゼロ金利にし資産を7兆ドルまで拡大したあと、どのように今年の追加支援を策定するか、また、透明性を改善するための声明の修正の協議を継続したことが確認された。数人のメンバーはもし、パンデミックが長期化した場合、金融市場の安定リスクとなると懸念。一部の中小企業が資金のひっ迫に直面していることも認識している。

9月FOMC前、来週、27日、28日に開催されるカンサスシティ連銀が主催するFRBの年次シンポジウムで何等かの政策が明らかにされる可能性も除外できない。通常の会合はジャクソンホールで開催され非公式となるが今年は初めてライブ配信で公開される。9月15−16日に開催が予定されているFOMCは11月大統領選挙前の最後の会合となる。

イールドカーブに関してはその有効性が限定的との見方のようだ。逆に、イールドカーブコントロールが過剰なバランスシートの拡大に繋がる可能性を懸念するメンバーも少なくなかったようだ。また、長期債利回りはすでに過去最低水準を達している。このため、これ以上、現状では利回りを抑制する必要性もない。

■経済
「経済の軌道はウイルスの展開次第」

■追加緩和
「資産購入の骨組みはいずれ刺激策として支援となる可能性」
「イールドカーブコントロールによる有効性は緩やか」
「イールドを抑える有益性は緩やか、多くは正当かしないとみているが引き続き選択肢のひとつ」「数人のメンバー、イールドカーブコントロールは過剰なバランスシートの拡大に繋がる可能性を懸念」

■見通し
下半期の見通しは前回よりも力強くない

■インフレ
「パンデミックの影響は価格を押し下げ、ディスインフレ」
「2,3人のメンバー、長期のインフレ期待が2%目標を引き続き下回る可能性がリスクになると指摘」《CS》

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