死語になった自動車用語「始業点検」

2020年8月7日 07:45

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タイヤ規格と指定空気圧は車体に貼付してある表示ラベルに記載 ©sawahajime

タイヤ規格と指定空気圧は車体に貼付してある表示ラベルに記載 ©sawahajime[写真拡大]

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 社用車の使用に関し、内規で「始業点検」を社員に義務付けている場合を除いて、一般の自家用車オーナーにとっては、今や「始業点検」なんて言葉を普段耳にすることも無くなったに違いない。

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●昔はグリスアップなんて作業を普通にやっていた

 足回りの「グリスアップ」なんて、聞いたことも無いドライバーが大多数だろう。

 1963年11月に登場した2代目プリンス・スカイラインが、初めて「4万km又は2年間」保証の封印エンジン、「3万km又は1年間」グリスアップ不要を打ち出した。

 それまでは、当たり前のように定期的に、そして豪雨で路面が水浸しの道を走った後とかは随時グリスアップしていた。

 最近のママチャリや電動アシスト自転車のホイールを見ても、ハブに「オイルニップル」は付いていないが、昔の自転車にはニップルが付いており、そこに時々オイルを差す必要があった。

 その時代のホイールハブは、漏れたオイルに砂埃が付着して汚れるので、モールをリング状にして取り付けて、埃落としをさせたりしていた。

 足回りのグリスひとつにしても、2代目スカイライン以前の車は、定期的に整備する対象項目だったのだ。こと程左様に、昔の車はいろいろと、メンテナンスでも面倒な作業が必要だった。

 現在の車は、殆ど何もせずに、ガソリンを給油するだけで、乗りっ放しのユーザーも多い筈だ。

●日常点検作業

 法人保有の業務用車両、特に運送業関連なら、従業員に始業点検する様に指導している企業も多いが、いまどきの一般ユーザーは、ボンネットを開けることさえ無いのではなかろうか。

 当時は1日のスタート前の「始業点検」は欠かせなかった。下記の様な項目を、スタート前に点検するのだ。

 国が定めた15項目の日常点検チェックシートを確認してみよう。

 (1)エンジンルームを覗いて
 1. ウインド・ウオッシャ液の量
 2. ブレーキ液の量
 3. バッテリ液の量
 4. 冷却水の量
 5. エンジン・オイルの量

 (2)クルマの周りを回って
 6. タイヤの空気圧(含むスペアタイヤ)
 7. タイヤの亀裂、損傷および異常な摩耗
 8. タイヤの溝の深さ
 9. ランプ類の点灯、点滅およびレンズの汚れ、損傷

 (3)運転席に座って
 10. ブレーキ・ペダルの踏みしろおよびブレーキの効き
 11. パーキング・ブレーキ・レバーの引きしろ
 12. ウインド・ウオッシャの噴射状態
 13. ワイパの拭き取りの状態
 14. エンジンのかかり具合および異音
 15. エンジンの低速および加速の状態

 日常的にこういった作業をする。

 エンジン・オイルを点検するのには、毎回ティッシュも使うから、ティッシュボックスを後部の棚に積んであると便利だ。

 目視点検でタイヤの空気圧が少し減っていると思われれば、タイヤゲージで空気圧を測って確認した。その車の指定タイヤ規格と空気圧は運転席ドアの内側に貼付してあるケースが殆どだ。(写真参考)

 タイヤも、現在の車の殆どはチューブレスで、釘を踏んでいても空気は殆ど漏れないが、昔はチューブ付きが一般的だった。勿論すぐに空気が抜けてペシャンコになった。

 昔のスペアタイヤは、前後左右四輪の走行用タイヤと同じサイズのタイヤが「スペアタイヤ」として積まれていたが、緊急用のスペア専用の黄色いホイールの細身のそれとなり、最近では「タイヤ修理キット」だけで、予備のタイヤさえ積まなくなった。

●普段少しだけでも気を付けてチェックしよう

 昨今ではタイヤのパンクを経験した人も希だろうが、空気圧が低減すれば、目視で判る。エンジン・オイルも警告灯が点灯するから致命的な問題は起こり難い。

 本来、車をスタートする前には「始業点検」は欠かせないが、面倒を嫌う現代のユーザーには、夏場にバッテリ液の確認だけはお勧めして置く。

 バッテリ液だけは、注意喚起する方法が無くて、気が付かない。最近のバッテリは、メンテナンスフリータイプが多く、給水穴の蓋が、昔の様なペットボトルの栓みたいな手で回せるタイプでは無く、硬貨を溝に差し込んで回すタイプになっている。

 「密封式」とか「給水管理不要」とか謳っているが、完全密封では無い。

 熱のこもるボンネット内に置かれたバッテリは、使っているうちに必ず水が蒸発する。普段からきちんとディーラーで定期点検を受けるなり、ガソリンスタンドで整備していない向きは、せめてシーズン中1度位は、ボンネットを開けて液面を確認して欲しい。

 本来は大切な作業にも拘わらず、「始業点検」なる用語も死語の世界に行ってしまった様だ。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

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