曲がり角を迎えたホームセンター業界

2020年7月1日 17:37

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 6月9日にLIXILグループ(リクシル)は、「ホームセンター6位の上場子会社:LIXILビバを同業のアークランドサカモト(新潟県)に売却する」と発表した。リクシルの瀬戸欣也社長は(オンライン)記者会見で、「住宅関連メーカーとして、住宅や水回りを中心にやっていく」とした。

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 報道に接した折りに、今年5月にイタリアのホームセンター子会社を米国企業に売却したことを思い出した。そして、「瀬戸リクシル時代が本格化したな」とまず考えた。

 経営の混乱から昨年、創業者一族に連なる潮田洋一郎氏が会長職を辞任した。潮田氏はホームセンター事業を重視していた。瀬戸氏の判断は間違っていないと考える。過去15年近くホームセンター市場は店舗数こそ緩やかながらも増加傾向にあったが、売上高は4兆円規模で横這い状態にあった。つまり「採算の低い」事業状況に置かれていた。撤退の選択肢は、当然と言えた。

 リクシルの発表をメディアは概ね、「業界再編加速」という切り口で報じた。的外れではあるまい。

 だが果たして「業界再編」が進むことで、ホームセンター市場は真に活性化するのだろうか。利益率が好転し、市場規模が横這いを脱するのだろうか。「否」と考える。そう考える理由は、以下の通りだ。

★少子高齢化の進捗=人口減少。都市部への人口集中化。ホームセンターは大方、郊外に店舗を構える。郊外に足を運ぶ消費者の減少=売上高の減少。

★オンラインショップの隆盛。在庫を基本的には抱えず、一方品揃えは豊富。消費者にとっての利便性に大きな差異が発現している。

★住宅事情の変化。戸建て住宅需要の減少/マンションニーズの高まり。ホームセンターに消費者が最も求めてきたものは「DIY(Do it Yourself)」関連商品。大雑把に言えば戸建て住宅派向けの商品である。現に「総市場規模4兆円のうち、約3兆円が戸建て住宅向けDIY関連商品」というデータもある。

★ホームセンターが取り扱う商品は、均一的。差別化が難しいし、この構造は今後も変わりえない。

★では、合従連衡は活性化に直結するのか。今回のアークランドサカモトによるリクシルビバの買収で、アークランドサカモトの売上高は業界5位になる。が、こんな現実がある。現状での業界ランキングは(売上高)は「カインズ」「DCMHD」「コーナン商事」「コメリ」が上位4社。しかし各社の市場占有率は10-15%で、4社合計で40%にも満たない。1社抜きんでるような施策を展開しうる状況にはない。それぞれの現有市場規模を守ることが精一杯と言わざるをえない。

 リクシルビバの市場退場は再編加速というより、業界が曲がり角を迎えている証しと言えよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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