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世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスは、腸管上皮細胞に感染して増殖することが示唆されている。そのため、感染者の糞便中から下水道へと集積する新型コロナウイルスを定期的にモニタリングする疫学的手法が、注目を集めている。山梨大学と北海道大学の共同研究グループは26日、国内で初めて下水試料から新型コロナウイルスRNAの検出に成功したと発表した。
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下水道が普及している地域では、不顕性感染者を含めたあらゆる感染者の糞便から下水にウイルスが集積される。そのため、下水処理場でのモニタリングによって、その地域での新型コロナウイルスの流行状況を把握できることが期待される。
これまでにもオーストラリアやイタリアなどの海外諸国では、下水から新型コロナウイルスRNAが検出されることが確認されている。共同研究グループは、日本国内では初の取り組みとして、山梨県内の下水と河川水中で新型コロナウイルスの調査を行った。
その結果、4月14日の測定で塩素消毒前の下水処理水から新型コロナウイルスRNAが検出された。この時点で山梨県内での累計新型コロナウイルス感染者数は36名と、県内での感染流行がピークを迎えている時期であった。このことから、いわゆるPCR検査で把握されている感染者が少ない地域においても、下水中から検出が可能であることが期待される。
なお、今回用いられた手法はウイルスの感染力の有無にかかわらず検出を行うものである。そのため、今回検出されたウイルスが感染力を有するかどうかは不明である。また、下水処理区域を越えての人の移動などは考慮されていない点も留意する必要がある。
本研究で用いられた手法は、もともとノロウイルスなどの腸管系ウイルスに対して用いられてきた実績のある手法である。そのため、新型コロナウイルスに対する有効性についてはさらなる検証が必要である。今回用いられた手法を含む様々な検出法を対象に、新型コロナウイルス検出への有効性のある方法が確立されていくことが期待される。
本研究の成果は「Science of the Total Environment」誌のオンライン版に20日付で掲載されている。
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