レナウンの「破綻の理由」を整理する

2020年6月1日 17:31

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2019年9月には同社初のEC限定ブランド「ENSUITE LUMIERE(エンスウィート ルミエール)」を開始していた。(画像: レナウンの発表資料より)

2019年9月には同社初のEC限定ブランド「ENSUITE LUMIERE(エンスウィート ルミエール)」を開始していた。(画像: レナウンの発表資料より)[写真拡大]

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 アパレル大手の一角とされてきたレナウンが、経営破綻した。負債総額138億7900万円。5月15日、東京地裁から民事再生手続きの開始決定を受け、今後は管財人の下でスポンサーを探しながら、再生を目指す。

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 メディアの大方は「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛などで、百貨店での衣料品売り上げが激減したことで資金繰りが行き詰った」と伝えた。

 だがレナウンの過去を振り返ると、コロナウイルス禍は破綻に「最後の引導を渡した」と捉えるべきだと考える。誹りを恐れずに言えば、レナウンには「経営が欠落していた」。

 詳細はここでは省くが、レナウンの収益動向は大雑把に振り返ると30年近く「微増益/赤字転落」を繰り返してきた。並行して「人員整理」「不採算事業縮小」が繰り返されてきた。が、本格回復に歩を移すことはなかった。

 兜町OBの間からは「進取の気性を感じさせたこともあった。君は知らないだろうけど1960年代には“レナウン・ワンサカ娘”というTVCMがバカ受け、70年代にはアラン・ドロンや高倉健をCMに起用しブランド力を高めた。人気ゴルファー:アーノルドパーマーを起用し“傘”マークをワンポイントにしたウェアが、人気を博したのもあの頃だった」とする声も今回聞いた。

 ではなぜ、好収益路線を歩めなかったのか。大きく3つの要因が指摘できる。

★販路: 大半が百貨店に留まり続けた(前12月期末で55.4%)。加えて平成の時代(1990年代後半以降)に入ると、SPA業態(製販を一気通貫で中間コストを省き価格競争力を高める)アパレル業者が出現し、販売仲介手数料の高いデパート戦略は厳しさを強いられ始めた。またPCの普及に伴いECによる販売比率の向上を図る業者が急台頭した。レナウンも手をこまねいていたわけではないが、前期末のECの売上高比率は3.2%に(百貨店の圧力の前に)留まっている。

★商品構成: 主力ブランドは「ダーバン」をはじめ、7ブランド。その顔触れは1990年代とほぼ遜色ない。約2000億円で買収した英国の「アクアスキュータム」もその1つ。後に多額債務の要因となったブランドである。固定化したブランド品での新規顧客層開拓は、困難を余儀なくされた。

★思惑外れ: 2010年に「アジアのLVMH(ティファニーの買収などで知られるコングロマリット)」を標榜する中国の山東如意の傘下に入った。「新たな展開を求めたショック戦略」と評されたが、新親会社は欧米ブランドの積極的なM&A負担で急速に財政悪化。要するにレナウンの面倒など見ていられなくなった。ちなみに昨年末には逆にレナウンは山東如意の香港子会社からの売掛金の回収がとどこおり、大赤字を計上した。

 昨年5月に社長に就任した神保佳幸氏は、「負けぐせがついている社内の閉塞感を変えたい」としたが、時間は待ってくれなかった。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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